「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は2月22日、フランスのヴァンドームとオラトワールに新たに建設した2つのレザーグッズ工房の落成式を行った。
落成式にはベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)会長兼最高経営責任者(CEO)やマイケル・バーク(Michael Burke)=ルイ・ヴィトン会長兼CEO、ブリュノ・ルメール(Bruno Le Maire)仏経済・財務相らが出席。4時間にわたるツアーでは、ルメール大臣が従業員から製作に350もの工程を要するハンドバッグ“カプシーヌ(Capcine)”の説明を受けた。
LVMHはヴァンドームにある11世紀に建てられた修道院を1500万~2000万ユーロ(約19億3000万~25億8000万円)かけて購入し、工房として修復。4階建ての建物は2020年9月から稼働していたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって落成式が延期されていた。
仏アゼの近くにあるオラトワール工房は、「ルイ・ヴィトン」が所有するその他のレザーグッズ工房と比較して、エネルギー消費を半分に抑えたエコデザインとなっており、フランス初のインダストリアルスタイルの建築物として注目されている。
2つの工房で従業員150人を雇用し、最終的には500人まで増員する予定だという。また、クロコダイルやオーストリッチ、パイソンといったエキゾチックレザーを使用したバッグの製造に特化した工房となる。同様の技術を持つ工房はフランス国内に3カ所あるという。
バーク=ルイ・ヴィトン会長兼CEOによると、LVMHはエキゾチックレザーへの投資を強化しているという。これは18年にクロコダイルやリザード、スネーク、アカエイを含むレザーの使用を中止すると発表した「シャネル(CHANEL)」とは対照的な動きと言える。国際動物愛護団体PETAは、LVMHとエルメス(HERMES)も使用を中止するよう定期的に呼びかけている。
これについてバーク=ルイ・ヴィトン会長兼CEOは、「エキゾチックレザーを使用しなければ、これらの動物は絶滅してしまう」と主張する。「もしこうした革を買わなければ、彼らの生息地は不動産開発の格好の餌食になってしまう。生息地を自然のままの状態で保つためには、その土地自体に価値を持たせる必要がある。そして、こうした土地が持ちうる最高の価値は、クロコダイルやアリゲーターの産卵地となることで、われわれはその卵を1個約50ドル(約5700円)で購入する。そして100個買うごとに、1年後には1歳のワニを10匹野生に放つ。こうして絶滅寸前だった動物を再生しているのだ」。
LVMHは、19年になめし工場に対してトレーサビリティ要件を強化した基準を設定。これに基づき22年末までにはクロコダイルを使用した「ルイ・ヴィトン」のバッグは100%この基準を満たしていると認証された農場から調達される予定だ。現在の達成率は93%だという。シンガポールにある同社のなめし工場は、オーストラリアやジンバブエ、ケニア、米国の農場からレザーを仕入れている。