菜々緒のCMでおなじみのブランド品買い取りサービス「ブランディア(BRANDEAR)」。運営するデファクトスタンダード(東京、仙頭健一社長)の本社兼物流センターでは、1日に8000〜1万点もの中古品が全国の家庭から届き、真贋、査定、撮影、データ入力、保管などを経て、国内外の新しい購入者のもとに発送される。4000坪の広大な空間は、考え抜かれた導線と業務フローによって、大量かつ一点物の中古品が効率的に管理されるリユースビジネスの心臓だ。
巨大な物流倉庫が軒を連ねる大田区平和島の一角に、デファクトスタンダードの本社兼物流センターがある。家庭から出た中古品がここに集まり、再び新しい購入者に送り出される。
同社の特徴は、宅配買い取りが中心であること。「段ボール箱に詰めて送るだけ」の気軽さをセールスポイントにして、のべ300万人以上に利用されてきた。最近は買い取り専門店の出店やオンライン査定にも乗り出し、さらに利用客を広げている。買い取られた品物は、「ブランディア」のオークションサイトを始め、国内外のマーケットプレイスで販売している。
査定:家庭から届く買い取り品 隅々までコンディションチェック
全国の家庭から届いた段ボール箱は、まず真贋・査定に回される。「ブランディア」は最近こそ高額品シフトを進めているが、もともと約7000ブランドの幅広いアイテムを買い取り対象にしてきたため、段ボール箱には中古市場でも数十万円になる「エルメス」「シャネル」のバッグから千円台のドメスティックブランドの服まで、雑多な品物が一緒に詰め込まれてくる。
傷や劣化具合など細部までをチェックし、コンディションのランク付けを行い、それらのデータを入力する。ブランド、アイテムの種類、サイズ、コンディション、そして販売価格(落札価格)を合わせた膨大なデータの蓄積がリユースビジネスでは極めて重要になる。
断捨離によって、何年もたんすに眠っていたような品物も届く。スタッフが査定中の年代物の「ルイ・ヴィトン」のバックの中に、詰め物として変色した古新聞が入っていた。1996年2月15日付の朝刊で「羽生7冠独占」の大きな見出しのもと、25歳(当時)の羽生善治さんが史上初の将棋7大タイトル獲得したと報じていた。
撮影:あらゆる角度から何枚も 傷や汚れも撮る
査定とデータ入力が終わった品物は、撮影に移る。ここで採寸も行う。ハンドバッグであれば縦・横・マチ、ハンドルの長さ、服であれば肩幅や袖丈、着丈などをメジャーで計測して、データ入力する。
白い壁を囲いにした撮影コーナーがたくさん並ぶ。服をハンガーにかけたり、トルソーに着せたり、バッグや革小物を置いたり、アイテムごとに適した撮影コーナーを使い分ける。簡単な撮影作業は在宅ワークでも行なっている。撮影された画像は常時17万〜20万点の品物がそろう「ブランディア」公式オークションサイトなどにアップする。
バッグなどは正面やサイド、内側、底面以外にも、革の変色した箇所、傷のある箇所、金具のメッキの剥げている箇所なども撮影する。正直に伝えることで、購入者に納得して購入してもらい、サイトへの信頼度を高める。
保管:在庫20万点は一点物ばかり 高級バッグや時計は特に厳重管理
画像を含めたデータの登録が終わった品物は、ビニールや不織布などで包装後、保管されて、国内外に出荷されるのを待つ。平和島には約20万点の品物が保管されている。中古品なので当然ながら全てが一点物で、それぞれに番号とバーコードがつけられて管理されている。衣料品、バッグ、時計、貴金属などカテゴリーごとに保管エリアを分けている。
主力カテゴリーである高級バッグの保管エリアは約300坪。「ルイ・ヴィトン」「シャネル」「エルメス」「グッチ」など、中身が分かるような薄手の不織布に包まれた2万〜3万点の高級バッグがずらりと並ぶ光景は圧巻だ。「ルイ・ヴィトン」は最新のモデルから1970〜80年代のモデルと思しきものまで、何列もの棚にアーカイブのように保管されている。高級バッグや時計、貴金属など高額品の保管エリアは、特に厳重に管理されており、限られた社員しか入室を許されない。
リユースも新品の市場価格と連動しており、バッグの「ルイ・ヴィトン」「シャネル」「エルメス」、時計の「ロレックス」などの買い取り価格と販売価格もこの1〜2年でだいぶ上昇した。同社もこれらを買い取り強化ブランドとして消費者に呼びかけ、取り扱いを増やしている。
衣料品はジャケットやワンピースはハンガーに吊るす。一方、カットソーなどは筒状に丸める。平たく畳むよりも筒状の方が棚で管理しやすく、スペースも節約できるからだ。
同社は近年、海外のマーケットプレイスでの販売を強化している。ここに保管する品物は国内だけでなく、米国や欧州、中国、東南アジアなどの消費者に配送される。