「シャネル(CHANEL)」はこのほど、定番バッグ4モデルと2022年春夏コレクションを値上げした。値上げ幅はEUが6%、英国5%、日本8%、韓国5%、香港2%で、例えばEU圏における“11.12”モデルは7800ユーロ(約97万円)から8250ユーロ(約103万円)に引き上げられた。今回、米国と中国での価格改定は行われなかった。
米「WWD」によれば、コロナ禍の影響が出始めて以来、「シャネル」が値上げをするのは今回で6回目となる。ブルーノ・パブロフスキー(Bruno Pavlovsky)=シャネル ファッション部門プレジデント兼シャネルSASプレジデントによれば、同ブランドは地域による価格差を10%以内に抑える方針を15年に定めており、値上げはそれに従って価格調整を行った結果だという。「それが主な理由ではあるが、ほかにも生産コストの上昇や、品質向上のために投資したからでもある」と語った。
一方、値上げをすることで「エルメス(HERMES)」の人気モデル“バーキン(Birkin)”と同じポジションを得ようとしているのではないかという憶測については、「『エルメス』のバッグは素晴らしいものだが、当社のバッグとは全く違う。素材や構造はもちろん、どのように持つかなども異なる。確かに(ブランドとして)競合ではあるものの、特定のバッグで競い合ってはいない」と否定した。
「シャネル」は昨年、バッグの保証期間を従来の2年から5年に延長したほか、バッグのケアや修理を行う「シャネル・エ・モワ(Chanel et moi)」プログラムを開始した。同氏は、「ただ値上げのための値上げではないし、ライバルとの競争のために値上げをしているわけでもない。当社のバッグには高い価値があり、そうした製品を今後20年間にわたって維持していくには本気で取り組み、投資する必要があるからだ」と述べた。
ここ数年、生産コストや人件費の上昇などを受け、ラグジュアリーブランドでハンドバッグの値上げが続いている。中でもその幅が大きいのは、21年1月から22年2月にかけて米国で29%の値上げをしたモデルもある「シャネル」や、同じく66%の値上げをしたモデルがある「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」だろう。米「WWD」によれば、ケリング(KERING)が擁する「グッチ(GUCCI)」も21年に2回の値上げをしたほか、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)が擁する「ディオール(DIOR)」も22年1月に平均8%の値上げに踏み切った。また、「エルメス」も生産コストの上昇により、22年に3.5%程度の値上げをする予定と2月に発表している。