ゴールドウインは、神奈川県箱根町と地域活性化に関する包括連携協定を締結した。ゴールドウインが「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」などのアウトドア事業で培ってきた知見と、箱根の持つ自然環境と文化的資源を組み合わせ、観光の活性化や自然環境の保全、地域の魅力向上を目指す。9日に箱根の湯本富士屋ホテルで調印式を行い、渡辺貴生ゴールドウイン社長や勝俣浩行・箱根町町長らが登壇した。
同社が自治体と包括連携協定を結ぶのは、南アルプス国立公園で知られる山梨県北杜市(2020年)、知床国立公園のある北海道斜里町(21年)に次ぐ3例目だ。渡辺社長は、「箱根は新宿から1時間半でアクセスでき、駅を出てすぐに素晴らしい温泉街が広がる。(富士箱根伊豆)国立公園内に位置し、山も近く、フィールドとしての価値も高い。しかし、観光客の多くは自然体験をせず、街並みや宿泊のみで観光を終える。箱根の自然という新しい価値を発信し、一人でも多くの人に体験してもらえたら」と語る。勝俣町長は「ゴールドウインと連携協定を結べることをうれしく思う。フィールドとしての箱根の力を発揮し、観光業に付加価値をつけ、国内外に向けてオンリーワンの観光地となることを目指す」と語った。
同社はかねてから箱根の地域活性化をサポートしてきた。芦ノ湖の清掃や登山路の整備、芦ノ湖漁業共同組合への「ヘリーハンセン」のウエアの提供などを行ってきた。昨年10月には箱根の自然を体験する2泊3日のツアーを企画し、石畳の道の散策や寄木細工の体験、外輪山から金時山へと登るハイキング体験、マウンテンバイク体験などを行い、参加者から反響を得た。これらの取り組みを経て、より密接な連携を可能にする同協定の締結に至った。
渡辺社長は今後の具体的な施策について、「これから詰めていく」としながら、「子ども向けのサマーキャンプなど、地域の愛着形成に寄与するなど、地域住民にも観光客にもメリットのある取り組みを行う」と語った。