ファッション

TSIの「イレーヴ」がメンズをスタート “ルーツ”や“普遍性”を進化の糧に

 TSIの「イレーヴ(YLEVE)」は、2022年春夏から新たにメンズコレクションをスタートした。

 同ブランドはセレクトショップのプライベートブランドなどを手掛けてきた田口令子をデザイナーに起用し、2018年春夏に発足。過度な装飾を削ぎ落としたベーシックなデザインで、主力アイテムはメンズのテーラードをベースとしたジャケット類だ。上質な素材と国内製造にこだわり、価格帯は5万円(税込)以上。縫製においてはメンズテーラリングを得意とする工場を選んでいるが、「メンズジャケットの作り方をそっくりそのまま持ち込んでしまうと、(雰囲気が)カッチリとしすぎてしまう」(田口デザイナー)。毛芯を抜いたりパターンを曲線的にしたりといった工夫で、女性らしいエッセンスを忍ばせる。

 販路は卸売が中心で、現在の取引先は大手セレクトショップや百貨店など約40アカウント。メンズコレクションはメンズバイヤーや男性顧客の声が起点となった。力強さの中に柔らかさや抜け感が同居するムードが好評で、「展示会で『メンズがあったら買い付けたい』『僕らも着てみたい』という声が一定数あった」。実際にウィメンズの大きめのサイズを求める男性客もいたという。すでに2020-21年秋冬からベイクルーズのセレクトショップ「レショップ(L’ECHOPPE)」と協業し、メンズの別注ジャケットやカバーオール、コートなども販売し、一定の成果を得ている。

 メンズ商品のデザインはウィメンズと共通のものもあるが、見えない部分に手を加えている。「男性の骨格にフィットするようパターンを修正したり、1から引き直したりしている」。コットンとナイロン混紡のブルゾン(4万2900円)のように、当初メンズ商品として企画し、後にウィメンズのMDにも組み込んだものもある。「メンズにチャレンジしたことで、今までになかったモノづくりの発想や視点が生まれている」。

 メンズに関しては、ウィメンズで取引のある小売店などを中心に徐々に拡げる方針。田口デザイナーは「メンズファッションのルーツや普遍性を大切するマインドも学びながら、時代とともに廃れることのない、着る人の個性が引き立つ服を作っていきたい」と前を向く。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

リーダーたちに聞く「最強のファッション ✕ DX」

「WWDJAPAN」11月18日号の特集は、毎年恒例の「DX特集」です。今回はDXの先進企業&キーパーソンたちに「リテール」「サプライチェーン」「AI」そして「中国」の4つのテーマで迫ります。「シーイン」「TEMU」などメガ越境EC企業の台頭する一方、1992年には世界一だった日本企業の競争力は直近では38位にまで後退。その理由は生産性の低さです。DXは多くの日本企業の経営者にとって待ったなしの課…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。