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イギリス出身の偉大なミュージシャン、デヴィッド・ボウイの死去が報じられた11日、「バーバリー」がメンズのランウエイショーを開催した。ショーが始まるまでのBGMは、もちろんデヴィッド・ボウイ。クリストファー・ベイリーは彼へのオマージュをささげるべく、メンズ&ウィメンズモデルの目元にグリッターをのせた。
コレクションのテーマは、「Something Old, Something New, Something Borrowed and Something Blue」。このフレーズは、イギリスの結婚式の風習に由来するもの。結婚式に「古いものと新しいもの、借りたもの、そして、青いもの」を身に着けた花嫁には、幸運が飛び込むと信じられている。ベイリーは、このフレーズが提唱するスタイルをメンズに応用し、男性の幸せを祈願。今回も彼ならではのロマンチシズムは健在だ。
「古いもの」は、「伝統的なもの」と解釈していいだろう。コレクションの主役は、引き続き「バーバリー」らしい伝統的なアウター群。ほとんど全てをオーバーサイズのコクーンシルエットに変換しているが、トレンチやダッフル、ピーコートなどのクラシックなアウターから、ボマージャケットのようなストリートアイテムまで、バリエーション豊かだ。「新しいもの」は、「新しいスタイリング」という意味だろうか?そんなアウターに合わせたのは、サヴィル・ローのスーツではなく、トラックスーツ、いわゆるジャージー。ハイネックのフルファスナーのジャージーは、時に一番上までファスナーを閉めてタートルネックのように着てみたり、時に首元までにとどめ首回りを襟のようにコートの外に出したり。アウターとジャージーは、祖父や父から「借りる」ことができるかもしれないほど、伝統的でユニフォーム性の高いアイテムだが、それを組み合わせるとちょっとした違和感を覚える新鮮なスタイルに生まれ変わる。
カラーパレットは、秋冬の定番色にレッドが加わった程度だが、ラストルックの総スパンコールのジャージーは、当然「青」。顔のグリッターとジャージーのスパンコールで光を乱反射するスタイルで、希代のロックスターの死を悼んだ。