2022-23年秋冬シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」が開幕しました。54ブランドが参加し、30ブランドがリアルショーで、24ブランドがデジタルで最新コレクションを披露します。
ここでは、記者3人がその日に発表したブランドから面白かったブランドを“今日の東コレピックアップ“と題してダイジェストでリポート。1日目はこの3ブランドです!
東コレ取材4シーズン目
編集部 美濃島1 / 1
見どころ:「シンヤコヅカ」は、東京・原宿の六角館の地下でランウエイショーを実施しました。バンダナ柄やクラッシュベロアなどを多用したアンティークムードのコレクションは、イギリス人の挿絵家ヒース・ロビンソン(Heath Robinson)に着想したもの。「(彼の)単純な物事を、大げさかつシニカルに描く作風」を表現するため、ジャケットに忍ばせたインナーをウエディングドレスのように長くしたり、ヒースの作品を総柄のブルゾンやカーディガンに落とし込んだり、金のボタンを無数に施したりと、いつもより振り切ったクリエイションにワクワクしました。腕を下ろすと隠れる脇下の切り替えや、裏地の総柄など、普段は見えない場所にデザインを加えたのは、小塚信哉デザイナーとロビンソンに共通する「優れたデザインや豊かさは隠れた部分にある」という価値観を反映したから。ぱっと見の派手さと細部の作り込みのバランスが良く、オーバーなサイジングと古着っぽい素材感もツボでした。
東コレ取材初参加
ソーシャルエディター佐立
「ノントーキョー(NON TOKYO)」1 / 1
見どころ:「ノントーキョー」は、ロマンチックなガーリーとスポーティーをミックスした、あえての"違和感"が特徴。今シーズンのテーマは、貴族文化で社交界デビューする女性やその舞踏会を指す"デビュタント(debutante)"で、チュールの手袋やフリルのドレスが登場。クラシック音楽が流れ、「コンセプトにピッタリ!」と思いきや、曲はカミーユ・サン=サーンス(Camille Saint-Saens)の交響曲「死の舞踏(Danse macabre)」。演出でも、どこかシュールな"違和感"を感じます。注目は、手塚治虫原作の「リボンの騎士」とのコラボアイテム。男女両方の心を持つ王子/王女が主人公の作品で、現代のジェンダー観や、ウィメンズとメンズの両方のアイテムを発表した「ノントーキョー」とも重なります。「リボンの騎士」プリントのスカーフを持ったモデルが着ていたのは、鹿の写真がプリントされたドレス。手塚さんがディズニー映画「バンビ」に多大な影響を受けたという逸話を思い出しました。
東コレ取材は10年目
ファッションリポーター大杉
「ハルノブムラタ(HARUNOBUMURATA)」1 / 1
見どころ:村田晴信デザイナーによる「ハルノブムラタ」の初の東京ショー。「ジル サンダー(JIL SANDER)」などの海外メゾンで経験を積み、先シーズンには「東京ファッションアワード 2022(TOKYO FASHION AWARD 2022)」を受賞した実力派です。着想源は20世紀初頭のフランスの写真家、ジャック=アンリ・ラルティーグ(Jacques Henri Lartigue)が切り取った、美しい瞬間の日常の記録がヒントになったそう。霧がかったブルーカーペットのランウエイには、クリーンでミニマルなドレスやテーラードアイテムが中心に登場しました。スカーフ付きのハットを被ったドレスルックは、クラシカルでありながらもモダンであり、品の良さが漂います。ショー中盤には、会場中央に歌手が登場し、歌のパフォーマンスを披露。「日常の振る舞いの中で見つける美しい瞬間と、幸せな感情にフォーカスした」というコレクションから、心の豊かさを感じました