ファッション

轟音ライブの「キディル」や爆音ベッドルームの「ネグレクト アダルト ペイシェンツ」 記者3人が選ぶ“今日の東コレダイジェスト”

 2022-23年秋冬シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」が3月14日に開幕しました。2日目もライブパフォーマンスで会場を沸かせた「キディル(KIDILL)」や東コレ初参加の「ペイエン(PEIEN)」など、盛りだくさんのスケジュールです。記者3人がその日に発表したブランドから面白かったブランドを“今日の東コレピックアップ“と題してダイジェストでリポートします!


東コレ取材4シーズン目
編集部 美濃島
「キディル(KIDILL)」

見どころ:「キディル」のランウエイショー、ではなくライブパフォーマンスが最高でした。1月のリアルショーでコレクションの世界観を存分に見せつけた末安弘明デザイナーは、東コレではファッションショーを行わず、ロックバンドのPSYSALIA 人(サイサリア ヒト)を起用したライブを敢行。アウトサイダーアーティストのヘンリー・ダーガー(Henry Darger)とコラボし、彼の挿絵をグラフィックやジャカード、くすんだ紫やイエローなどのカラーリングで表現したシーズン、という説明は一切なし。その代わりに、バンドメンバーがとにかく自由に演奏し、ドラムセットをぶっ壊すほど熱いパフォーマンスを見せました。ルックは5体でライティングは暗め。初見だと洋服はほとんど分かりません。それでも、「キディル」が音楽を大事にする姿勢がひしひしと伝わってきて、気づいたら拍手喝采を送ってました。演奏後にギターの松本亨が語った、「(衣装のおかげで)武装したようにハイになった」というファッションの根幹を言い得たコメントにもグッときました。


東コレ取材初参加
編集・記者 竹内
「ネグレクト アダルト ペイシェンツ(NEGLECT ADULT PATiENTS)」

見どころ:「ネグレクト アダルト ペイシェンツ以下、ネグレクト)」は、毎シーズン想像の斜め上をいくパフォーマンスで観客やファンを楽しませてくれます。今回もその期待を裏切りません。会場には、布団を敷いたフワフワのランウエイとリクライニングベッドを設置し、さらにスモークと甘い香りが漂い、まるで夢の中に迷い込んだような空間です。また、選ばれたメディア関係者はフロントローならぬ“フロントベッド”で、ベッドに寝てショーを見るという発想も同ブランドならでは(弊誌の記者も演者として参加!)。オルゴールのメロディと共にコレクションがスタートすると、寝ぐせを思わせる無造作ヘアのモデルたちが気だるそうに登場します。チェック柄のパジャマ風セットアップやオーバーサイズのロンT、ロゴ入りジャージーなど、リラックスしたデザインのルックが目を引きました。もちろん、ファスナーをあしらったストライプのパンツやデニムジャケットなど、「ネグレクト」らしいパンキッシュなアイテムも継続。フィナーレでは観客を夢から現実に引き戻すように、爆音のノイズが会場中に響きわたりました。「いつまでもこの夢が続けばいいなあ」と思うつかの間のひとときが、なんとも名残り惜しい!


東コレ取材は10年目
ファッションリポーター大杉
「ペイエン(PEIEN)」

見どころ:伊澤直子デザイナーによる「ペイエン」は東コレ初参加。東京・表参道のプラダ青山店向かいの空きテナントの中で、来場客が回遊できるプレゼンテーション形式での発表でした。着想源は、伊澤デザイナーがリノベーションをしたときに見た、打ちっぱなしの壁やむき出しの水道管で、“普段は見えないものの内側”をヒントにしたそう。目を引くのは、裏地がむき出しになったコートやジャケットなど、一度作ったものを壊す脱構築的なテクニック。メンズが着こなすデニムのコルセットとシースルートップスのコーディネートや、肌が透けるローゲージのニットドレスなどは、センシュアルで、儚さも醸し出します。初の東コレで、ショーではなくプレゼンテーションにした理由を「じっくり近くで見てほしかった」と伊澤デザイナー。その言葉通り、細部まで凝ったユニークなテクニックや、手仕事の美しさを自分のペースで見ることができました。コンクリート打ちっぱなしの空間にカラフルなライティングを当てた演出も、脱構築的なムードにぴったりで、コレクションの強さも引き出していました。

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