松坂屋上野店は16日、本館7階の美術品売り場を約2倍に増床(240平方メートル)し、リニューアルオープンした。新設したキュレーション区画「アートスペース」では、新人作家や学生に焦点を当てた企画展などを定期的に開催。“人とアートをつなぐ場所”をコンセプトに、美術品をより生活者に身近な、開かれた文化として発信する。
上野エリアは東京都美術館や日本芸術院、東京藝術大学などが所在する「アートと共生する街」(渡辺智邦店長)。新型コロナウイルスによる生活者の価値観の変化で、「心を潤すコンテンツの価値がますます高まっている」。同店における2021年3〜8月期の美術品の売り上げは、コロナ前(19年)の同期間との比較では1.8倍と好調。「アートの街・上野のブランディングに貢献するとともに、地域共生を通じて自店の存在価値を発揮していきたい」と話す。上野からほど近い湯島、本郷、根津など文京区エリアに住む富裕層や、若年層の取り込みも視野に入れる。
「アートスペース」では柿落としの企画として「藝大100ドロ展」と題し、東京藝大美術学部デザイン学科の1年生の作品400点を展示。同大の新入生に毎年課される、1つのテーマでひたすら観察と描写を重ねる「100枚ドローイング」の成果物が並ぶ。