企業が期ごとに発表する決算書には、その企業を知る上で重要な数字やメッセージが記されている。企業分析を続けるプロは、どこに目を付け、そこから何を読み取るのか。この連載では「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」(共に日本経済新聞出版社)の著者でもある齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、企業の決算書やリポートなどを読む際にどこに注目し、どう解釈するかを明かしていく。今回はLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトンの財務諸表を読み解く。(この記事はWWDジャパン2022年3月14日号からの抜粋です)
初めてLVMHの財務諸表を見たのですが、なかなか面白いです。ブランド企業というよりは、投資会社なんですね。今回は僕が興味深いと思った点を紹介します。
まず2021年12月期決算でいくと、過去最高売り上げを記録しました。売上高は8兆円超。コロナ禍の影響を受けて20年はへこみましたが、もう大回復しています。
稼ぎ頭のファッション&レザーグッズは、20年こそ5%減でしたが、ほぼ20%増をキープし、けん引し続けています。ワイン&スピリッツも4%前後の成長を維持し、これまで10%弱の成長だったウオッチ&ジュエリーは、ティファニー(TIFFANY & CO.)が入った影響で、2.5倍の成長になっています。セレクティブ・リテーリングは免税店とセフォラ(SEPHORA)が主なので、まだ回復には至っていませんね。
損益計算書(PL)を見てみましょう。構造的にいうと粗利が68%を占めます。過去と比べて21年は粗利率が非常に高まりました。販管費も50%ぐらいかけていますが、19%の営業利益率を確保しています。
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