「ミッソーニ(MISSONI)」は3月17日、新たなクリエイティブ・ディレクターとしてフィリッポ・グラツィオーリ(Filippo Grazioli)を任命した。同氏はメンズとウィメンズ・コレクションの両方を率いるほか、ライフスタイル部門のブランド・マネジャーも務める。5月に発表する2023年プレ・スプリング・コレクションに登場するが、新クリエイティブ・ディレクターとしてのデビューショーは9月に開催予定の23年春夏コレクションとなる。なお、6月の23年春夏ミラノ・メンズ・コレクションには参加しないという。
ミッソーニは1953年にオッタヴィオ・ミッソーニ(Ottavio Missoni)とロジータ・ミッソーニ(Rosita Missoni)夫妻が創業。長らく一族経営が続いていたが、2018年に株式の41.2%をイタリアの投資会社FSIに売却した。20年には、最高経営責任者(CEO)としてリヴィオ・プローリ(Livio Proli)が就任。同氏が進める再編計画の一環として、21年5月には、夫妻の長女で24年にわたってクリエイティブ・ディレクターを務めたアンジェラ・ミッソーニ(Angela Missoni)社長が退任。その後は、アンジェラの右腕を長らく務めてきたアルベルト・カリーリ(Arberto Caliri)が暫定的にクリエイティブ・ディレクターを務めていた。今回の人事に伴い、カリーリはロジータの下でホームコレクション部門を率いるほか、“ミッソーニ スポーツ(MISSONI SPORTS)”ラインも手掛けることとなる。
グラツィオーリ新クリエイティブ・ディレクターはイタリア・マルケ州生まれで、現在40歳。「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」や「ヴィヴィアン・ウェストウッド(VIVIENNE WESTWOOD)」などの生産や販売を行っているスタッフ インターナショナル(STAFF INTERNATIONAL)でインターンをしていた際にマルタン・マルジェラ(Martin Margiela)と出合い、13年まで同氏の下でウィメンズの経験を積んだ。その後、「エルメス(HERMES)」でウィメンズのシニア・デザイナーとなった。15年に「ジバンシィ(GIVENCHY)」のクリエイティブ・ディレクターを務めていたリカルド・ティッシ(Riccardo Tisci)と出合い、同ブランドのコレクション・ディレクターに就任。18年にティッシが「バーバリー(BURBERRY)」のチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任したことに伴い、同ブランドのランウエイ・コレクション・ディレクターとなった。
プローリCEOは、「フィリッポは若くしてすでに複数のラグジュアリーブランドで18年の経験を有しており、謙虚だが断固たる意思を持っている。真剣かつ情熱的にプロジェクトに取り組み、『ミッソーニ』のブランド力をさらに強化するとともにモダン化をいっそう推進してくれるものと確信している。また、(アンジェラの退任後)2シーズンにわたって当ブランドらしさを失うことなくフレッシュなデザインを披露し、コレクションを成功させてくれたアルベルトにも深く感謝している」と語った。
グラツィオーリ新クリエイティブ・ディレクターは、「イタリアのブランドとして長い歴史と確固たる地位を誇る『ミッソーニ』の一員となることができ、大変光栄に思っている。ポジティブで喜びにあふれ、色鮮やかでフレッシュな『ミッソーニ』らしさを維持しつつ、私の経験を生かしていきたいと考えている」と述べた。