2022-23年秋冬シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」は、いよいよ最終日を迎えました。ここでは、記者3人がその日に発表したブランドから面白かったブランドを“今日の東コレピックアップ“と題してダイジェストでリポートしています。最終日は、キャリア47年でNFT作品に挑んだ「ジン カトー」や、ドッグウエアの提案でインパクトを放った「リコール」、ニットを多彩に使う「ジョイア パン」が登場します。
東コレ取材4シーズン目
編集部 美濃島
「ジン カトー × ユキ ミタムラ(ZIN KATO × YUKI MITAMURA)」1 / 1
見どころ:キャリア47年のオートクチュールデザイナー、ジン・カトーが、まさかのNFT作品を発表。東京藝大卒のデザイナー兼エンジニアのユキ・ミタムラと協業し、カトー=デザイナーがドレスのパターンを引いて3Dのアート作品にしました。同ブランドは過去にファッションゲームアプリとコラボしてアバターの衣装デザインを手掛けていましたし、新しい領域へチャレンジする姿勢が素晴らしい。ルックとともに公開した映像は、金と黒のドレスを着た2体のアバターが合体し、虹色のドレスを生み出すストーリー。衣装のなびき方がリアルで、アバターが男と女に見えたり、最後は死を思わせる描写があったりと、ストーリーも面白かったです。
初取材のルーキー
編集・記者 福永
「ジョイア パン(GIOIA PAN)」1 / 1
見どころ:ハン・イ・リヨウ(Yi-Liang Pan、潘怡良)デザイナーが手掛ける「ジョイア パン(GIOIA PAN)」は、ニットデザインが強みのブランド。オンラインで発表したコレクションは“Promise”をテーマに、高級石のブランド「チェンガオストーン(CHENGHAOSTONE)」と協業しました。まず目を引いたのは、大理石風の柄がシックなスタイル。アイテムはジャケットやドレス、ボリュームのあるスカートなどで、個人的には背中に大きなリボンが付いたベアワンピに釘付けでした。後半に差し掛かると、ブランドが得意とするニットのアイテムも続々と登場。ラメが混ざったニットを全面に使用したドレスの裾は、膝からダイナミックに広がっていたり、ブラックのハイネックニットは前後の裾の長さ、左右の袖の長さが違う“超絶アシンメトリー”だったり。この造形を全てニットでやり切るところに、ブランドの気骨を感じました。顔にペッタリと貼り付けた前髪や、縦に長いお団子ヘアといったヘアメイクも新鮮でした。
東コレ取材は10年目
ファッションリポーター大杉
「リコール(REQUAL≡)」1 / 1
見どころ:土居哲也が手掛ける「リコール(REQUAL≡)」は、目黒にあるヨーロッパ風の街並みを再現した屋外スタジオでショーを開催。今季は”ニューファッションマーケット”をテーマに、土居デザイナーがスペイン・バルセロナで見た、ブランドのブート品が並ぶマーケットが着想源になったそう。石畳の道の脇にブルーシートを敷いて、古着や絵を路上販売するという演出もユニークでした。ショーでは、”NF”や”THE FAKE FACE”など、スポーツメーカーやアウトドアブランドのパロディロゴをのせたトップスやアウターが登場。古着のシャツをつなぎ合わせたドレスやスカートなどは、ダメージをあえて生かして経年変化を楽しむ提案で、古いモノから新たなモノを生み出すという観点です。また「リコール」を着た犬も登場!飼い主の洋服を愛犬用にリメイクするオーダーメードサービス「フラッフィーテーラー(FLAFFY TAYLOR)」とのコラボで、ブランドのアイコニックな”着るじゅうたん”のポンチョなどがドッグウエアになっていました。ラストには、ウクライナの国旗をほうふつとさせるイエローとブルーのニットを着用した2人組のモデルが「NO WAR!!」と描かれたクッションを持ってポーズをとりました。ブランドがこれまで発信してきた多様性や固定観念からの脱却、平和への願いが伝わる、ピースフルで温かいコレクションでした。