ルミネと「WWDJAPAN」は東京・新宿のルミネゼロで、ファッション&ビューティ業界の次世代に光を当て、業界のさらなる活性化を目指すイベント「Next Generations Forum 2022」を開催しました。
「WWDJAPAN」2月14日号で発表した国内外のネクストリーダー16組や、業界の有力企業トップたち、ネクストリーダーの選出を担ったアドバイザー陣などが登壇。計9つのトークセッションのアーカイブをぜひお楽しみください。4月24日まで無料で視聴できます。
開会挨拶&NEXT LEADERS 2022 受賞者発表
開会挨拶:高橋眞ルミネ社長、国内外のアドバイザー10人との選考や、自薦・他薦から選出した16人のNEXT LEADERを発表し、集結した皆さんを称えました。
「ファッション業界の明るい未来とNEXT LEADER」
エヴァン・クラーク / 米「WWD」副編集長
ギャビー・ヒラタ / ダイアン フォン ファステンバーグ社長
米ダイアン フォン ファステンバーグのギャビー・ヒラタ社長が、エヴァン・クラーク米「WWD」副編集長とのビデオ対談で登場。ギャビー社長はコロナ禍直前の2020年1月に、31歳の若さでトップに抜擢された。次世代のリーダーとして意識するのは、「誰もが声を上げられる環境作り」という。「日々複数のチームを束ね、職位や部門が異なるメンバーを横断的にまとめている。社会や市場が目まぐるしく変化する中で、5年前の常識はもはや今の社会には当てはまらない。若い世代は、自分たちの時代を待つ必要はない。今すぐにでも発言すべきだ」とギャビー社長。
ダイバーシティ&インクルージョンの旗を振る日本のファッション
松田崇弥 / ヘラルボニー社長
松田文登 / ヘラルボニー副社長
佐々木進 / ジュン社長
辻愛沙子 / arca CEO、クリエイティブ・ディレクター
ヘラルボニーの松田崇弥代表と文登副代表は、障がいを持つ人のアート作品を通じて、ダイバーシティー&インクルージョン(多様性と包括性)のある社会の実現を目指している。「福祉とアートを包括してブランドとして見せていけたら、障がいへのイメージが変わる」(崇弥代表)、「支援だけに偏ることなく、作品の素晴らしさを伝えることで、みんなの目線を変えていきたい」(文登副代表)と、アートの力を熱弁した。ファッション、ビューティを含めた表現活動には、さまざまな垣根を取り払うポテンシャルがあるという発言に他の登壇者も賛同。
サステナビリティとファッション
奥寺昇平 / WOTA取締役CTO 共同創業者
サカイカナコ / 「カナコ サカイ」デザイナー
近藤広幸 / マッシュホールディングス社長
齋藤峰明 / ルミネ顧問
日本各地の産地の技術継承に向き合う「カナコ サカイ」のサカイカナコデザイナーは、いくつもの取引先工場が消えていくさまをその目で見てきた。「ブランドだけでなく、服作りのために手を動かしている職人にも光が当たる業界を作っていかなければ未来はない」と語る。「持ち運べる浄水場」をうたう循環型浄水システムの手洗いスタンド「WOSH」をルミネなど商業施設に導入するWOTAの奥寺昇平CTOは、「『WOSH』は単に手を洗うのではなく、使った水がその場で循環することで、使用時にお客さまが環境について考えることになる」と話した。
パーパスのあるブランド経営
奥寺昇平 / WOTA取締役CTO 共同創業者
坊垣佳奈 / マクアケ共同創業者、取締役
石井リナ / BLAST CEO
山井梨沙 / スノーピーク社長
石川俊佑 / KESIKIパートナー
坊垣佳奈マクアケ共同創業者・取締役と石井リナBLAST CEOは、企業活動の本質が問われる時代においてパーパスを持つ意義について語った。坊垣取締役は「パーパスは自由な発想をもたらし、イノベーションにつながる」とコメント。市場にとらわれず、広い視野でビジョンを実現する姿勢は、メディアとして始まり、吸水ショーツなどのブランド「ナギ」も手掛けるBLASTにも共通する。石井CEOは、「女性をエンパワーメントするための活動を続けている。ミッションを掲げ、スタンスを表明する企業が次世代に選ばれる」と話した。
私が作りたい新しいファッション 小嶋陽菜
小嶋陽菜/heart relation代表取締役CCO
WWD:「ハーリップトゥ」を立ち上げた経緯は。
小嶋陽菜(以下、小嶋):アイドルグループAKB48のメンバーとして12年間活動してきた。もともと卒業後に、「ブランドをやろう!」と思っていたわけではない。自分の好きなモノを作って、それをファンの方にシェアしてコミュニケーションが取れたらいいなという考えで最初は小さくブランドを始めた。開始当初は、「これからは個の時代になる」「自分自身がプラットフォームになる」といった世の中の変化についてはなんとなく想像していたが、ブランドがこのように大きな規模になったり、ネクストリーダーに選ばれたりといったことは考えておらず、とても驚いている(笑)。
私が作りたい新しいファッション 岡崎龍之祐
岡﨑龍之祐/「リュウノスケオカザキ」デザイナー
WWD:ファッションとアートをどう学んできたのか。
岡﨑龍之祐(以下、岡﨑):東京藝術大学のデザイン科だったので、デザインを学びながらアートに触れる機会も多い環境だった。服作りは独学だが、表現という意味ではアートもファッションも似たようなもの。両方をいろいろな角度から見て、作り続けてきた。
WWD:なぜファッションに惹かれるのか?
岡﨑:ファッションの自由さ、不思議さ、人が着ることで自分を表現するのが面白いと思ったから。自分自身ではアートとファッションの垣根を超えて表現しようという意識はなく、自然体でモノを作っているだけ。アートとファッションは業界や市場は異なるけれど、いち表現者として重要なことではない。
ファッション&ビューティで自分らしく ソンミ / タイラ
ソンミ/「ミース」CEO兼美肌研究家
WWD:自身のコンプレックスからスキンケアの「ミース」を立ち上げた。
ソンミ:20代の頃に芸能活動をしていた時期がある。そのころは、モデルや女優と自分の容姿を比べてしまうことが多く、自分の欠点にばかり目が行きがちだった。そんな中で、コンプレックスを克服しようと努力するよりも自分の強みはなんだろうかと考え、褒めてもらうことが多かった肌を磨こうと思った。肌が荒れていると人前にも出たくなくなってしまう。自分に自信を持ちたくて化粧品を探したが、自分が使い続けたい化粧品は片手に収まるほどしかなかった。「だったら自分で作ってみよう!」と思ったのが、ブランドを立ち上げたきっかけだ。正しいケアをすれば、肌は必ず応えてくれる。肌が健やかになることで、私は自分が好きになった。自分に自信が持てると笑顔が増え、それによってもしかしたら世の中さえも変えていくことができるかもしれない。そんな可能性を感じている。
TAIRA/モデル
WWD:かつてはジェンダー・ノンバイナリー(性自認が男女どちらにも当てはまらないこと)という個性をコンプレックスに思うことがあったか。
TAIRA:非常にセンシティブな子どもだったため、周りの友達と自分を比べて「なんで自分はこうじゃないんだろう」といったコンプレックスがあった。その中でモデルにスカウトされたことがきっかけとなり、自分の少し変わっている部分を力に変えることができるようになったし、今では生まれ持った力だと信じることができるようになっている。ファッション業界で特にモデルは、皆さまざまなコンプレックスを抱えている。「気にすることはない」と軽くあしらうのではなく、逆に寄り添って発言をするようにするなど、自分も気をつけている。コンプレックスは皆持っているもの。そこにフォーカスするのではなく、何が自分にとって武器なのか、何が強いのか、そちらに目を向けることのほうが大切だと感じている。
アジアのカルチャーとファッション
ホン・ボーミン/「K-ボクシング」CEO
ディオーン・ソン/「ラブボニート」CEO
チェ・スンホ/「ザ・ブラック・レーベル」アーティスティック・ディレクター
マイケル・キリアン/「ゾディアック」共同創業者
「Next Generations Forum 2022」には、中韓の「WWD」編集部などの協力のもとで、中国、韓国、シンガポール、インドネシアを拠点に活躍するアジアのネクストリーダーも参加した。シンガポール、インドネシアは、ルミネが出店している国でもある。
私が作りたい新しいファッション あさぎーにょ
あさぎーにょ/ユーチューバー、「ポピー」ディレクター
WWD:多彩な分野の仕事を手掛けているが、それについて悩んでいたこともあったと聞く。
あさぎーにょ:ユーチューブをはじめ、「ポピー」というアパレルブランド、映画制作、音楽、企業CMのディレクションまで、仕事の幅がどんどん広がっている。全部やりたくて全てに全力投球しているが、「どれかに絞らなくていいのかな?」という葛藤もあった。
WWD:その葛藤はどのように乗り越えたのか。
あさぎーにょ:私自身の活動のコンセプトは“ワクワクを抱きしめよう”。新しいことを始めるたびに、仲間を探して一緒に取り組んできた。そうした仕事と活動が仲間や同志を増やし、私自身の可能性も広げている。