ストライプインターナショナル(以下、ストライプ)が、投資ファンドのティーキャピタルパートナーズ(以下、ティーキャピタル)からの出資を受け入れると発表した。セクハラ報道を受けて、2020年3月に創業者の石川康晴社長が辞任。その後はコロナ禍の影響も大きく、中国事業から撤退、複数ブランド・サービスを休止するなど、事業リストラを進めてきた。ティーキャピタルと二人三脚で再建を進め、以前から目標としていたIPO(株式公開)を3〜5年後に目指すという。ストライプとティーキャピタルの担当者に聞いた。
WWD:ティーキャピタルから出資を受けることに至った経緯は。
張替勉ストライプインターナショナル専務取締役管理統括本部長兼CFO(以下、張替):当社がIPOを目指しているということは、15年ごろからさまざまな場面で発信してきた。しかし、20年の中国事業撤退、22年の「ホテル コエ(HOTEL KOE)」の閉館などからもわかるように、採算が厳しい事業もあり、さらにコロナ禍(による店舗の休業・営業時間短縮など)が追い打ちをかけた。業績を上向かせるのが難しい中で目指してきたIPOを実現するためには、これまでの体質から何かを大きく変えなければいけない。従来は自社の株の圧倒的多数を創業者で前社長の石川(康晴)が持っていたが、そこからの脱却の必要性を感じていた。石川に関しては2年前に報道※もあった。そういった部分でもかつての会社のあり方から脱却し、新生ストライプを目指そうと考えていた。1年半ほど前から議論を重ねてきて、(タッグを組む相手の候補としては)さまざまな選択肢があった。その中で、アパレル・小売りのビジネスに精通していて、われわれのことを理解し最も高く評価しくれた相手、IPOを目指すという目標も合致した相手がティーキャピタルだった。ティーキャピタルと組むことを内々に決めたのは21年の5月半ば。22年3月11日に正式に発表することができた。
※一般紙などで石川前社長の販売員へのセクハラ疑惑が報じられ、その責任を取るという形で石川前社長は20年3月6日付で辞任した。
WWD:ティーキャピタルはストライプのどういった点を評価したのか。
大岸崇是ティーキャピタルパートナーズパートナー(以下、大岸):われわれ金融業界から見て、アパレルや小売りの業界はコロナ渦中では投資がしづらいというのが一般論だ。ただ、ティーキャピタルはストライプのことを10年以上前から知っている。われわれはアパレル・小売り関連で、バーニーズ ジャパン、「ミキハウス(MIKI HOUSE)」の三起商行などにこれまで投資実績があり、そうした中の一つとしてMS&コンサルティングという企業がある。モニター調査による小売りの接客支援を行っている会社であり、同社がクロスカンパニーの時代からストライプと取り引きがあったことで、同社を通して、ストライプが販売員のES(従業員満足度)向上などの点で人に寄り添う企業だということを知っていた。それが、ストライプを評価した理由の1点目。2点目は、「アース ミュージック&エコロジー(EARTH MUSIC&ECOLOGY以下、アース)」を始め、認知が高いブランドを持っていること。3点目は、国内外1500店舗という基盤だ。今後のアパレル業界は、サステナビリティ関連などコストがかかることが目白押しで、一定の規模がないと勝ち抜くことはできない。2年前の石川前社長の事件はわれわれにとってはマイナスにはならない。一個人の話と、現場の話は分けて考えるべきだ。これから人口が増えていくベトナムという市場に、ストライプは既に進出できている点も評価ポイントだった。
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