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中村聖哉CEOに国内独占取材 セイヤ ナカムラ2.24が世界最大規模のショールーム247と資本提携した理由

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 国内外ブランドや企業のマーケティング・セールス・PR などを包括的に手掛けるセイヤ ナカムラ2.24(SEIYA NAKAMURA 2.24、以下 2.24)は22日、イタリアを拠点にするショールームの247と資本提携を結んだことを発表した。株式保有率は2.24の中村聖哉CEOが53.58%で、247が46.42%。

 2.24は「マメ クロゴウチ(MAME KUROGOUCHI)」「CFCL」「リック・オウエンス(RICK OWENS)」「クレージュ(COURREGES)」「ガニー(GANNI)」といったデザイナーズブランドやゴールドウインなどの企業52社を、247は「A.P.C.」「3.1 フィリップ リム(3.1 PHILLIP LIM)」「ケンゾー(KENZO)」など45社をクライアントに抱えている。アジアに強い2.24と、欧州をはじめ43カ国でビジネスを行う247の提携により、取扱金額が下代換算で約360億円規模のホールセールネットワークを構築することになる。さらに、それぞれのショールームビジネスにおけるローカライズの強化に加え、新たなブランドやプロジェクトの立ち上げを目的とした投資事業の推進など、グローバル規模でのビジネスの多角化を図る。

 2.24の中村CEO は、“ブランド・ビジネスデベロップメント・コンサルティングエージェンシー”として2014年に同社を設立。世界を相手にファッションビジネスを仕掛け、東京とパリ、上海、香港にオフィスやショールームを構える。現在のスタッフは国内外合わせて約50人で、今後はソウルやロサンゼルスにも拠点を作る予定だ。海外のショールームと資本提携することで、多岐にわたる事業への具体的なメリットとは。中村CEOにその狙いを聞いた。

SEIYA NAKAMURA 2.24

 2014年に中村聖哉が設立。多分野にわたるブランド/ビジネスデベロップメント・コンサルティング・エージェンシーとして、現在は東京と上海、パリにオフィスとショールームを構える。現在は52のブランドや企業をクライアントに抱える。

【主なクライアント】
 「CFCL」「クレージュ」「フミト ガンリュウ」「ガニー」「ナマチェコ」「マメ クロゴウチ」「マリーン セル」「ピーター ドゥ」「リック・オウエンス」「ウェルダン」ゴールドウインなど

247

 2008年に設立。グローバルエージェンシーとディストリビューターを軸に、ブランド戦略の立案や、プロダクトデザインなどを一貫してサポートする。ホールセールの取引先は百貨店からオンラインストアまで世界43カ国に1500以上を有し、取扱高は下代換算で260億円以上。現在は45のブランドや企業をクライアントに抱える。

【主なクライアント】
 「3.1 フィリップ リム」「アー・ペー・セー」「アミ パリス」「C2H4」「チョポヴァ ロエナ」「ケンゾー」「マッキントッシュ」「ミッソーニ」「ナヌーシュカ」「プロエンザ スクーラー」など

資本提携でローカライズを強化し
ディストリビューションの拡大も図る

WWD:2.24の主な事業内容は?

中村聖哉CEO(以下、中村):事業はブランドデベロップメントを主軸にしながら、ブランディング・セールス・PR・マーケティングなどの領域で、包括的なサポートを国内外のブランドや企業に提供している。また中国でのビジネスにも注力しており、現地での主要なSNSの立ち上げやインフルエンサーマーケティングなど、中国の特殊なマーケットにも対応したビジネスを行っている。

WWD:2.24の事業規模は?

中村:前期のホールセールの下代換算での取扱金額は約100億円で、税引前利益は約5億4000万円だった。ここ半年間で、中国でのセールスやマーケティングなどで「クレージュ(COURREGES)」「リック・オウエンス」「マリーンセル(MARINE SERRE)」「ピーター ドゥ(PETER DO)」など10ブランド以上と契約しており、今季の取扱金額は下代換算で約140億円、税引前利益は8〜9億円を見込んでいる。

WWD:資本提携に至った経緯は?

中村:約1年4カ月前に247からアプローチがあった。それから2020年11月にディレクターレベルで協議が始まり、翌月の12月に僕も交渉のテーブルに入った。247は、コロナ禍でビジネスの構造に根本的な変革が起きている中、アジアのマーケットで強固な基盤を築いていた2.24に興味を持ったのだと思う。われわれは数年前から中国やアジアに進出しており、中国と香港には支社も構えた。ここ数年間は、月平均で1〜3ブランドとの契約を締結している。アジアでこれほどの規模で事業を拡大し、ネットワークを持っている会社は現状ないし、そもそもコンペティターがいなかったという要因もあるはずだ。また、今は香港や中国への渡航が難しく、政治的な意味でもビジネスは難しい状況だ。247はイタリアから中国への事業拡大の糸口を探していたのだろう。

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