ニューヨークのエリック・アダムス(Eric Adams)市長はこのほど、ニューヨーク市経済開発会社と連携して、ブルックリンにサステナブルファッションに関する新たな雇用を創出する計画を発表した。サンセットパーク(Sunset Park)内のブッシュ ターミナル(Bush Terminal)に建設中の「メード・イン・ニューヨーク キャンパス(MADE IN NEW YORK CAMPUS以下、キャンパス)」を拠点に、職業訓練や教育プログラムなどを通して、ブルックリンのファッション産業の拡大と市の経済発展を目指す。
「キャンパス」はアパレルおよびテレビ・映画業界のための工場やスタジオを集めた巨大ハブで、アパレル関連ハブは年内に完成予定。同ハブ内には複数の製造スペースがあり、広さはそれぞれ約185〜3716平方メートルとなっている。ここでは460の雇用を創出し、500人を対象に職業訓練プログラムを提供する。これにより、5700万ドル(約69億円)の経済効果をニューヨーク市にもたらすことになる。
ニューヨーク拠点の非営利団体スロー・ファクトリー(Slow Factory)が、最初のキーテナントとなる。同団体は、「キャンパス」内で気候正義やクライメート・ポジティブ・デザインなどの環境問題にまつわる誰もが受講可能な教育プログラムを用意する。再生素材や植物性レザーの開発などに力を入れるスロー・ファクトリー・ラボとの連携も図る。
そのほかの施設では、パートナーブランドから集めた大量の廃棄衣料や雑貨、テキスタイルなどを活用して資源の再利用を促進するトレーニングプログラムも計画する。また、グローバルなネットワークを持つ気候研究所の建設を目指す施設も作る。サンセットパークの居住者は、全てのプログラムやイベントに無料で参加できる。
米国に拠点を置く多くの企業が今、素材調達やサプライチェーンにまつわる問題や消費者間での環境意識の高まりから国内のリソースを見直している。アダム市長は、「ニューヨーク市はすでにアメリカのファッションの中心地だ。このキャンパスがそれをより強固なものにするだろう」とコメントした。