REPORT
ウィメンズ畑のデザイナー、ロドルフォ・パリアルンガは過去2シーズン、「ジル・サンダー」のトップ就任に際して踏み込むことになった未知の領域のメンズでは、定番的存在のワークやミリタリーのユニホームをモダナイズすることに集中し、好スタートをきった。シーズンが一巡し、自信を深めてきたのだろう。今シーズンの「ジル・サンダー」は、引き続きミリタリーのユニホームをベースとしながらも、アレンジが一段と進化。特に、さまざまな素材から生み出すシルエットは独特だ。メンズのコレクションにも、彼らしさが色濃く表れ始めた。
シルエットにおける一番の特徴は、ミリタリーの本質、プロテクションの概念から生まれた、まるで鎧(よろい)のように頑丈なトップスだ。序盤のスタンドカラーのコートは、ハーネスのようなアイテムをつけることで大きなフォームを厳格に抑制。続くスポンジナイロンのニットはドロップショルダーのオーバーサイズ。さらにショルダーラインには大きなボアパッチを加えることで、上半身を一段と大きく見せる。ハイブリッドしたナイロン袖は、バナナのように湾曲するシルエット。これもまた、上半身のボリューム感を強調した。ムース素材とボンディングしたカーキ色のレザーは直線的にカットし、まさにプロテクターのよう。スナップボタンで同素材のパネルと組み合わせればチュニック丈になり、インナーとしても、コートとしても使える存在に昇華する。ボリュームたっぷりのダウンパーカーは、ベルベットのトリミングがポイントだ。
こうしたアイテムと合わせるのは、上半身と相反するタイトなボトムス。ピカピカに磨いたレザーブーツとともに、下半身はシャープにまとめ、視線を上半身のボリューム感に集めた。