ファッション

鎌倉シャツが環境負荷の軽いオーストラリア綿を採用 ユニチカと共同開発

 「鎌倉シャツ」の愛称で知られるメーカーズシャツ鎌倉(神奈川県鎌倉市、貞末奈名子)は、環境負荷を軽減したオーストラリア綿を100%使用した日本製の「プレミアム・ピュアホワイトシャツ」の販売を28日に開始した。日本国内の店舗とオンラインストア、海外向けのグローバルオンラインストアで販売する。年間約4万8000枚の生産・販売を見込む。

 オーストラリア綿は、世界トップクラスの白さを誇るとされ、生地を染める際に漂白剤などの使用を削減できる。綿花栽培過程のトレーサビリティー(生産履歴の管理)にも優れているのが大きな特長だ。数十年にわたる研究開発と栽培技術の改良により、1ベールのオーストラリア綿を栽培するために必要な水は、20年前と比較して半分に削減した。殺虫剤の利用は同95%、土地の面積は同33%削減されているという。

 オーストラリアの9社の綿花農家と綿繰り工場からなる主要機関「コットンオーストラリア」のアダム・ケイCEOは、「オーストラリア綿は世界の競合と比べても高品質で、かつ環境汚染が少ないことで高く評価されている。綿にとってトレーサビリティーはとても重要。鎌倉シャツのブランドにとっても、原材料のトレーサビリティは重要な要素になる」と話す。

 オーストラリア綿を紡績した細番手糸は、ユニチカトレーデングとユニチカテキスタイルとで約3年をかけて共同開発した。通常、鎌倉シャツが生産するドレスシャツには超長綿が採用されるが、オーストラリア綿は長綿のため、主要素材として採用されることはなかった。そこで、ユニチカがオーストラリア綿の特長を最大限に生かしつつ、高級ドレスシャツに適した紡績技術を開発。鎌倉シャツの基準を満たす80番手相当の繊細で光沢のある細番手糸の開発に成功した。

 「もうひとつの特長がケミカルの削減。オーストラリア綿の持って生まれた白度を生かし、協力工場で糸を染色する際、蛍光染料などの薬剤等を40%削減し、排水時の環境負荷を軽減できた」と、ユニチカトレーディングの細田雅弘社長は説明する。

 鎌倉シャツとユニチカとの取り組みは2015年にスタート。19年に特殊複重層糸「パルパー」を採用したイージーケアシャツは、人気商品に育っている。このパルパーの一部にオーストラリア綿を採用し、品質に定評があったことから、100%使用した糸の開発へとつながった。

 鎌倉シャツの貞末社長は「アメリカ綿やエジプト綿など世界各地の綿を採用してきた。しかし綿は環境負荷や人権問題などさまざまな問題をはらんでいる。その中でとてもクリーンなオーストラリア綿は鎌倉シャツが理想とする原綿で魅力を感じた。限りある天然資源を大切に使ってほしいというメッセージも同時に発信し続けていきたい」と話す。

 同プロジェクトを最初の段階からサポートしてきた在大阪オーストラリア総領事館のトレバー・ホロウェイ総領事も「このコラボレーションは数十年前から続くオーストラリアと日本両国のパートナーシップとビジネス関係の強さを示すすばらしい事例のひとつ。日豪経済連携協定を活用してオーストラリア綿が日本市場にスムーズに入り、プレミアムシャツに生まれ変わって世界中で販売されることは大変すばらしい」と期待を寄せる。

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