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確かな「結果」を揺るがぬ「評判」に スキンケアの新勢力「レカルカ」

 新興スキンケアブランド「レカルカ(LEKARKA)」の勢いが止まらない。2017年の立ち上げ以降、1万5000円前後の美容液を主力製品にネット通販(公式ECと「楽天市場」)を主軸としてビジネスを成長させ、21年8月には松屋銀座本店に常設店を出した。

 運営するレカルカは、現会長の梅田英姫氏が東京・銀座で営む美容サロンから始まった、社員数20人余りの小さな会社だ。同社の化粧品事業の急成長の立役者となったのは、英姫氏の息子で、18年に当時25歳の若さで社長に就任した梅田延稔社長。「10年後に売上高100億円」を掲げ、同年代の若き経営陣とともにベンチャーマインドで突き進んでいる。

 20年9月に松屋銀座本店で実施したブランド初となるポップアップストアでは、長蛇の列ができ、約2時間待ちとなったことも。「(リーシング担当者から)次のポップアップストアをいつにするか、会期中に商談を持ち掛けられた(笑)」ほどの盛況だった。今後は中国を中心としたアジア展開も視野に入れている。

 ブランドの強みは、サロンで多くの女性の肌に触れてきた英姫会長の知見と、最先端の皮膚科学研究を融合させた製品開発力だ。「当社の製品を使い、結果に納得したファンが広告塔になってくださる」(延稔社長)との考えの下、広告宣伝費をほとんどかけず、その分も独自成分・処方の研究開発に投資。利用者のポジティブな口コミが製品の評判を高める好循環を作り、サロン顧客を起点に、美容意識の高い40代以上の女性を中心に支持を広げている。

 「レカルカ」は、英姫会長の「サロンまで足を運べないお客さまの肌悩みを解決してあげたい」という思いが立ち上げのきっかけだった。相談を受けた延稔氏は、直営サロンの地方出店やフランチャイズビジネスなどさまざまな選択肢を考慮したが、最終的には化粧品ブランドの立ち上げを決めた。「(「レカルカ」のサロンは)他のサロンや美容皮膚科をハシゴして、それでも肌悩みが解決しないときの駆け込み寺として利用される人も多い。会長はそういったお客さまの生の声に触れ、解決法を考える中で、数多くの化粧品のメリットやデメリット、相性などを独自のレシピ本として蓄積してきた。こういった知見を武器にすれば、市場にない化粧品を作れると考えた」。

 延稔社長は前職でIT企業の経営企画を経験。ただ「レカルカ」のビジネスの裏側には、緻密で複雑なマーケティング戦略が張り巡らされているわけではない。ブランド運営の考え方はむしろ、いたってシンプル。「お客さまの評判が命だからこそ、いい製品を作り続けることが成長への一番の近道だと考えている」。

 「レカルカ」は宣伝広告をほとんど打たない。製品でユーザーを魅了し、ユーザーを広告塔にする。良質な口コミを次の顧客の呼び水に、ブランドの認知を広げてきた。ECの購入客のリピート率は50%を超えており、「われわれの化粧品の結果に納得していただいていることの証左だ」と胸を張る。「薬機法の改正で、メーカーが製品の効果・効能を明確にうたうことが難しくなっている。そのような中では、当社の製品を使ったお客さまの、『こんなに肌がきれいになった』『みんなも使ってみて』と感動しシェアいただく口コミこそ最も説得力がある」。今年1月の三越銀座店でのポップアップでは、モニタースクリーンにSNSの口コミ投稿をサイネージに流した。

「人生を美しく変える」
必ず結果を出す化粧品

 顧客のポジティブなリアクションが生命線だからこそ、製品を実際に肌に乗せた後の「結果」が大事になる。エイジングケア美容液“シムセラムEX”(30mL、1万5400円)に配合した「ヒト歯髄細胞順化培養液」をはじめ、独自に開発した成分も多い。妥協のない製品作りのため、「最初に予算を決めない」のも同社の企画・開発における特徴だ。「一般的な製品開発の行程では、確保したい利益を念頭に、そこから逆算して原価率を決め、成分や処方を当てはめていく。だが、われわれは結果を最優先に、それをかなえる成分を詰め込み、出来上がってから価格設定する」。

 エステに来院したある50代の女性は、元々体質的に太りにくく、頬がこけて見える悩みがあった。容姿も一因と考え「就職面接で採用が決まらない」と悩んでいたが、エステでの施術とともに「レカルカ」の化粧品を一定期間使用したのち、企業の受付職への就職がかなった。また、太陽光のアレルギーで肌がボロボロになり、「肌が汚くて死にたい」と悩んでいた女性もいたが、「レカルカ」の化粧品を使ったホームケアで笑顔を取り戻した。「僕たちが世に送り出しているのは、単に肌をきれいにするだけでなく、その先にある人生を美しく変える化粧品だ」。

クリニック向けの卸売りと
アジア進出を成長のドライブに

 4月以降は「売上高100億円」に向けた成長戦略を加速する。

 EC販売はこれまで「楽天市場」を主販路としてきたが、今後は自社ECシフトを進める。実店舗は「必要とされている場所で、必要な製品を届けられる環境」を精査し、百貨店をはじめとした都市部の商業施設への出店を視野に入れる。

 美容外科や美容皮膚科などクリニック向けの卸売りの拡販と、専用商材の開発にも力を入れる。スキンケア以外のジャンルでは、ヘアケアライン“ヴィヴォルカ(VIVORKA)”を昨年スタートした。松屋銀座本店で実施したポップアップストアではシャンプーやコンディショナーが即完売するなど、一定の手応えを得ている。

 海外ではアジア進出を進める。中国では越境ECでの販売のほか、すでに現地にショールーミング型の実店舗2店を構える。23年3月期中には南京、台湾、マカオへの出店を計画する。新型コロナウイルスの感染状況が好転次第、シンガポールやフィリピンへも進出の足掛かりをつける。

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