日本のファッション産業で、ますますサステナビリティに対する意識が高まっている。1995年にリサイクルポリエステル繊維「エコペット(ECOPET)」を誕生させた帝人フロンティアはリーダー企業の一つだ。さまざまなライフスタイル提案やファッションをど真ん中に据えるビームス(BEAMS)は、エコやサステナビリティをどう進めているのか。
「ビームス オリジナル」のディレクターを務める影山達郎氏は、「ビームス」の考え方を踏まえ、こう語る。「ビームス全社としては、服にまつわるサステナビリティを多角的に捉え、ショッパー全体の約40%にFSC認証受けた原料を使用するなど、さまざまなことに取組んでいる。ただ、『ビームス オリジナル』がサスナビリティを全面に打ち出せるかと言われれば、それは違う。『ビームス オリジナル』は、あくまでファッションのライフスタイル提案、あいはシーズンコンセプトありき。その上で、選んだ素材が結果的にエコだった、というのが理想だ」と語る。
アメリカンビンテージにインスパイアされたボウリングシャツには、「エコペット」を使用したが、「本来のビンテージのボウリングシャツは、レーヨン素材を使ったテロンとした風合いが特徴。この『エコペット』素材はレーヨンのようなトロミも絶妙で、ポリエステルなのでイージーケア。しかもエコ。まさに理想だった」と振り返る。「僕らにとってエコはときに、現代風にアップデートするときのスパイスやギミックのようなもの」とも言う。
帝人フロンティアの中野茂マーケティング課ディレクターは「サステナビリティで先行するスポーツやアウトドア分野と異なり、ファッション素材は千差万別の風合いや感覚に対応しなければならない。今回のトロミのある『エコペット』素材も、実は先人たちが試行錯誤を重ねながら、生まれてきたものだ」と指摘する。
「エコペット」は製造工程で発生したポリエステルくずや、回収された使用済みポリエステル製品、ペットボトル等から、マテリアルリサイクル技術もしくはケミカルリサイクル技術により再生されたリサイクルポリエステル繊維、原綿およびそれを使用した生地、製品のブランド。1995年に誕生し、今年25周年を迎えた。エコロジーの循環型システムとして、現在まで累計約50万tを生産しており、ペットボトルに換算すると約250億本、Tシャツ約25億枚に相当する。
中野ディレクターは「帝人フロンティアは素材メーカーであり、繊維商社というユニークな特性があり、エコやサステナビリティに配慮した素材とサプライチェーンをファッション業界にも広げる責任がある。先人たちが積み上げてきた『エコペット』を、私も次世代につなげていく」。
帝人フロンティア
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