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齋藤薫のビューティ業界へのオピニオン 藤原美智子さんの転機に改めて思う、「ヘア&メイクアップアーティスト」とは何者なのか? いかなる職業なのか?

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 「WWDJAPAN」には美容ジャーナリストの齋藤薫さんによる連載「ビューティ業界へオピニオン」がある。長年ビューティ業界に携わり化粧品メーカーからも絶大な信頼を得る美容ジャーナリストの齋藤さんがビューティ業界をさらに盛り立てるべく、さまざまな視点からの思いや提案が込められた内容は必見だ。(この記事はWWDジャパン2022年3月28日号からの抜粋です)

 ヘアメイク界のトップ・オブ・トップといっていい藤原美智子さんが、自らのキャリアに1つの区切りをつけることは、自分自身にとっても極めて感慨深い出来事となった。出会いは、私が「ヴァンサンカン」編集部に在籍し、まだファッション担当の新人編集者だったとき。藤原美智子さんは20歳そこそこなのに、もう自分の名前で活躍し始めていた。うまい、速い、がすでに評判で。やがて、ビューティページの担当となってからは、より濃密に毎月一緒に仕事をし、長年にわたり、彼女なくしてはありえない美容ページを作ってきた。当時一緒にページを作り、現在は作家の光野桃さんとともに企画を立て、藤原さんがそれを見事にビジュアルで具現化。「すっご〜い!」と毎回歓声をあげたこと、美容ページ作りが面白くてたまらなかったことを、改めて思い出す。

 藤原美智子さんの才能はここで語るまでもなく誰もが知るところ。でもそれだけではない、ヘアメイクという仕事の神髄を極めていたからこそ、比類のない存在になったのだと、私が知る仕事ぶりから証言したい。雑誌の黎明期、無類の活躍をし、ヘアメイクという職業を確立した先駆者に渡辺サブロオさんがいる。以前その人物像に迫る取材をしたときの一言が忘れられない。「僕は“腰元”体質だから」。腰元……貴人のそば近くに仕えて、身辺の世話をする侍女。別格の存在になっても、そのスタンスを変えない人だった。

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