企業向けのプラットフォームビジネスを手掛けるトラストレース(TRUSTRACE)はこのほど、素材レベルの追跡をリアルタイムで可能にする新ツール“サーティファイド マテリアル コンプライアンス(CERTIFIED MATERIAL COMPLIANCE)”を発表した。アディダス(ADIDAS)が早期導入した。
同ツールは、AIやブロックチェーン、ボット技術を活用してさまざまなソースからデータを集積。複数の部品から成る製品にも対応しているほか、認証取得済みの素材の割合の特定や異なるCoC(加工流通過程の管理・追跡)モデルのサポートなど、素材コンプライアンスに関するさまざまな要件に対応する。
シャミーク・ゴッシュ(Shameek Ghosh)=トラストレース最高経営責任者(CEO)は、「大量の製品を扱う大企業がトレーサビリティーを担保する最も効率的な方法は、ブランドの既存のデジタルシステムから関連するデータを直接抽出することだ。当社のプラットフォームはオープンソース化しており、PLMやERP、MDM、VMSなどの主な製品情報管理システムともシームレスに連携できる」という。同社は現在、ヒグインデックス(Higg Index)などのソースからデータを集めて統合し、発注やバッチの段階で証明を必要とする規制にも対応する。
ゴッシュCEOは、「当社のツールは、例えばサプライヤーが提出したオーガニックコットンの証明書とブランドが提出したものが一致するかなどを確認し、その証明書が適切であるかを判断する。さまざまな規制が強化されているなかで、これまでCSR活動の一環として取り組んできたような企業レベルでの報告では不十分になってきている。特定のTシャツやシューズで使用しているコットンが新疆綿ではないと証明したり、シューズの重さのうち何割がリサイクル素材なのかを知ったりするためには、加工流通過程の正確な記録が必要だ。そうした大量のデータの収集や処理を自動化する当社のツールは、サステナビリティに関する主張を裏付けることを容易にするため、ブランドがESGに関する取り組みの進捗を追跡し、法や規制を遵守することを手助けする」と話す。
トラストトレイスは5年前に同プラットフォームをローンチして以来、800万ドル弱(約9億円)を調達し、製品提供の強化やグローバル展開、ファッションサプライヤーとのネットワーク構築に投資している。現在までに8000社以上のサプライヤーが参加しているが、これは25万個の製品および120億ドル(約1兆4000億円)相当以上のアイテムの追跡が可能になる計算だという。