REPORT
スポーツやアウトドアのマインドを取り入れ、脱構築のエレガンスを打ち出してきた「ボッテガ・ヴェネタ」。今シーズンは一転し、トーマス・マイヤーは絶妙なサジ加減でシルエットと素材のバランスをとりながらテーラードに回帰した。ブランドの核となるレザーは、ソフトネスを追求したこれまでとまるで逆のアプローチにより、より高貴で力強い男性像を助長する重厚感を生み出している。
終始気を配っているのは、縦長のシルエットを強調するロング&リーンのスタイル。ひざ下まで着丈のあるオーバーサイズコート、もしくはウエストの高い位置で合わせたスラックスと好バランスのコンパクトなボンバージャケットなど、日本人体型では難易度の高そうなアウターが主役だ。今シーズンのトレンドであるビンテージライクなシワ加工を加えた肉厚のレザーやムートンジャケット、英国調のツイーディーなトレンチコートも充実させた。英国ムードは中盤からチェックのシリーズへと移行。ニードルパンチを多用し、カシミヤのプルオーバーの肩部分やトレンチコートのラペル部分にほんのりとチェック柄を加えるなど、トーマスならではのハイセンスでチェック柄と遊んでいる。終盤は、ダークトーンを混ぜ独特の光沢を放つベルベットのセットアップシリーズ。今季初めてランウエイに登場したウィメンズのプレ・コレクションも同様のマスキュリンなセットアップが相次ぎ、ミニマルなエレガンスを正統派クラシックに昇華させた。