「ティファニー(TIFFANY & CO.)」は3月21日、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、ロシアで採掘されたダイヤモンドの調達を中止した。11日には、ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領がロシア産のアルコール類やキャビアなどの魚介類に加えてダイヤモンドの輸入禁止措置を取っており、これに足並みをそろえた格好だ。なお、世界のダイヤモンド原石の供給量の約3分の1をロシア産が占めており、「ティファニー」の調達先の割合もほぼこれに比例しているが、サプライチェーンの調整によって速やかに他国産に切り替えるという。
アンソニー・ルドリュ(Anthony Ledru)=ティファニー最高経営責任者は、「ウクライナの危機的な状況を深く憂慮している。当社は20年以上にわたってエシカル(倫理的)な調達を行っており、今回の決定はわれわれだけでなく、業界全体の基準を高く保ちたいという意思の表れだ」と語った。
同ブランドは、0.18カラット以上のダイヤモンドを個別に登録し、原石が採掘された国のほか、カットや研磨などを施した製造国を追跡できるシステムを2020年に導入している。今回の決定は、メレダイヤ(小粒サイズ)を含む全てのダイヤモンドに適用されるという。ロシア産のダイヤモンドが使用されていて、現在すでに流通・販売(在庫を含む)している商品の取り扱いは続けるが、購入の際、顧客はそれがロシア産かどうかを確認できる。
「ティファニー」の親会社で、ほかに「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「ディオール(DIOR)」「フェンディ(FENDI)」などを擁するLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)は、6日付でロシアの店舗を一時休業としている。「ティファニー」はモスクワで2店のインショップを展開しているが、同ブランドの公式サイトによれば、いずれも一時休業となっている。