伊藤忠商事は繊維・アパレルのリサイクルを強化する。このほどリユース・リサイクル事業を手がける鹿児島のエコミット(ecommit、川野輝之CEO)と業務提携し、日本市場における繊維製品の回収サービス「ウェア・トゥ・ファッション(WEAR TO FASHION)」をスタートする。今春から全国の事業者や自治体を対象にサービスの提供を開始する。伊藤忠は3月16日にもイタリアのリサイクルナイロン大手のアクアフィル(AQUAFIL)社への出資も発表しており、国内外で繊維製品のリサイクル事業を本格化する。
エコミットは鹿児島を本社に置き、福岡や広島、東京、埼玉、群馬に拠点を持ち、全国規模で廃棄物の回収と物流、再利用・再資源化のネットワークを構築している。2021年9月期の売上高は11億円で、回収・再資源化を全国1300店舗、全国18の自治体と取引し、数量は年1万2000トンの実績がある。同社によると取扱の半分ほどが繊維製品という。同社の特徴は独自に開発した、排出からリユース・リサイクルまでのリアルタイムでの追跡と、二酸化炭素の排出量のデータ提供SaaS型システム。両社は伊藤忠の展開するケミカルリサイクル型ポリエステル繊維「レニュー(RENU)」などを軸に、繊維製品の回収・再利用化・再資源化などに取り組む。「ウェア・トゥ・ファッション」は、「エストネーション」での導入が決まっている。
イタリアのアクアフィル社は、ケミカルリサイクルナイロン繊維の世界トップ企業で、伊藤忠は廃棄ナイロン製品の回収とリサイクルナイロン糸の販売などで提携してきた。アクアフィルは世界的なSDGsへの関心の高まりにより、同社のリサイクルナイロン「エコニール(ECONYL)」は「プラダ」などの有力ブランドへ採用されるなど、需要が急増している。伊藤忠は出資により、世界規模での廃棄ナイロン回収と再資源化の構築を強化する。