ワークマンは31日、PBシューズ専門の新業態「ワークマン シューズ」を4月1日の開店に先駆けて関係者に公開した。「#ワークマン女子」なんばシティ店(大阪)の真向かいに立地する。ワークマンの製品カテゴリーの中で、女性向け機能ウエアに次いで成長率が高い一般向け機能性シューズに特化し、靴の販売に本腰を入れる。
なんばシティの新店舗の売り場面積は122平方メートル。隣接する「#ワークマン女子」と合わせると518平方メートルとなり、同社最大の店舗になる。「ワークマン シューズ」単店舗として初年度売り上げ2億5000万円を見込む。
6月には東京・池袋サンシャインシティに2号店を出店する。両店は実験店舗と位置付ける。両店で売れ行き上位の商品を既存の「ワークマンプラス」「#ワークマン女子」に大量投入していく考えだ。
靴の新業態を出店する背景には、作業靴を除いた一般靴が売り上げを大きく伸ばしていることがある。2021年3月期の一般靴の売り上げは前期比40%増で100億円を突破。それまでも毎年倍々ゲームで成長していたという。土屋哲雄専務は「年間100億円という売り上げは、靴小売業界ではトップテンに入る。23年3月期にはさらに140億~150億円に拡大して業界6位をめざす」と意気込む。
「ワークマン シューズ」は働く女性の作業服を意識したタウンウエアもあわせて展開し、夏物のピーク時でシューズ34アイテム、靴関連小物49アイテム、レディスウエア29アイテムで構成する。とくに注目の商品は、“ハタラクジョシ”企画として打ち出すワークマン初の女性向けPB(プライベートブランド)シューズ。既存店の女性客からの要望が多かったパンプス(税込2480円)とバレエシューズ(1680円)のほか、グルカサンダル(1680円)、レースアップシューズ(1680円)を販売する。「#ワークマン女子」の女性客を狙い、パンプスだけで売り上げの2割を占めると予想する。
次に期待するが、フルマラソンも走れるという高機能・低価格のランニングシューズ「アスレシューズ ハイバウンス オーバードライブ」(2900円)だ。ソールに独自開発のカーボン配合プレート「ドリブンプレート」を内蔵。推進力を追求して走りに特化したモデルで、反発力はスポーツブランドの上位品と同等レベルだという。さらにミッドソールにも独自開発の高反発素材を搭載しているほか、ランニング初心者でも足を痛めないよう安定感のある設計にした。「ワークマン シューズ」で先行販売し、初年度は年間約30万足の販売を計画する。店内には、ランニングシューズの履き心地や推進力を体感できるランニングマシーンを設置した。滑らない靴の耐活性能を体験できるコーナーもあり、PBシューズの機能の高さをよりアピールしていく。
当面は展開アイテム数を絞り込みながらショッピングモール内で単独店や、「#ワークマン女子」との複合店などで出店する。アイテム数が150アイテムまで拡大した段階で路面店を出す。路面店は330〜495平方メートルを標準とし、フランチャイズ店で運営する。路面出店から10年間で200店舗、売上高300億円をめざす。その時点で、一般靴の総売上高は既存の「ワークマン」「ワークマンプラス」で展開する300億円を合わせて600億円になる計画だ。
靴小売市場への本格参入について、土屋専務は「将来的には業界3強のABCマート、チヨダ、ジーフィットに次ぐポジションにもっていきたい。靴市場はメーカーが強く、小売主導で展開している企業が意外と少ない。PB100%で小売主導の店舗を作り、価格に見合った価値を提供して業界に旋風を起こしたい」と話す。