4月1日、東京・新宿にスポーツ専門店アルペンの旗艦店「アルペン トーキョー(ALPEN TOKYO)」がオープンします。アルペンと言えば愛知・名古屋発の企業。愛知出身の記者は若かりしころ、地元のアルペン店舗に毎冬スキー用具を見に通っており(当時のアルペンは、広瀬香美のCMソングでおなじみのスキーの店でした)、勝手に親近感を抱いています。というわけで、オープンに先駆けて同店をパトロールしてきたので、ファッションビジネス誌目線でご紹介します!
……と意気込んではみたものの、地上8階+地下2階の計10フロア、延べ床面積1万2000平方メートル超(甲子園のグラウンドとほぼ同じ)と広大過ぎたので、今をときめくキャンプやアウトドアレジャーのフロアに絞ってご紹介します。「アルペン トーキョー」はアルペンの主要3業態「スポーツデポ」「アルペン アウトドアーズ」「ゴルフファイブ」で構成されていますが、3階の一部〜5階を占める「アルペン アウトドアーズ」がまさにキャンプや外遊びの売り場です。
【4F 個性派キャンパーもうならす圧倒的品ぞろえ】
それではまずは4階から。エスカレーターを降りてすぐという最重要スポットで打ち出していたのが、ソロキャンプ用品でした。レペゼンソロキャンパーなお笑い芸人、ヒロシさん監修のコーナーに小型テントなどが並んでいます。その奥の壁面は寝袋コーナー。さまざまなサイズ、厚みの寝袋が色別に陳列されているさまはなかなかに壮観。寝袋コーナーだけでなく、こちらの店舗は各フロアで“映える”(写真映えする)VMDにかなり注力しています。「EC全盛の時代にこれだけの旗艦店を作る以上、世界観の打ち出しを徹底してSNSでバズる店でなければ意味がない!」という思いをビシバシに感じさせます。
寝袋コーナーの隣は100型近くが並ぶ焚き火台コーナー、その横が調理器具などのダイニングコーナー、ランタンなどの明かりコーナー、イスコーナー。どこもかしこも本当に映えています。そして、丁寧にシーン提案がされているので買ったあとのことをイメージしやすい。フロアを見渡して改めて感じましたが、キャンプギアって、今は本当にさまざまなデザインがあるんですね。「キャンプ人口が拡大し、人と被らない個性的なデザインを求める人が増えている」(フロア担当者)ことを反映しています。
キャンプやアウトドアなどの市場では、“ガレージブランド”と呼ばれる小規模ブランドが続々と生まれていると最近よく耳にします。そう聞くと、原宿にマンションメーカーがポンポン生まれていた1980年代のファッション業界みたいだな〜と私はいつも感じます。「飽和の時代で新しいものなんてなかなか生まれない」とよく言われますが、盛り上がっている市場ではちゃんと新しいものが生まれているんですね。
4階には、おしゃれアウトドアショップ「エイアンドエフ(A&F)」のコーナーもあります。「エイアンドエフ」が「アルペン アウトドアーズ」に入るのは新宿店が初めてとのこと。「サカイ(SACAI)」や「ジュンヤワタナベ(JUNYA WATANABE)」などとのコラボでファッション業界人にもおなじみな「ペンドルトン(PENDLETON)」グッズも豊富でした。
【5階 ファミリー用大型テントも試し張り可能】
5階はテントを中心とした売り場です。レジの後ろにファミリー用の大型テントも試し張りできるスペースを設けているのがポイント。それぞれのテントの設営動画も店頭で流しているので(QRコードを読み込んで自分のスマホで確認することも可能)、試し張りの際も迷うことはなさそうです(もちろん販売員さんもサポートしてくれます)。テントだけで350型以上ストックしているそうで、「最近は冬のキャンプも人気なので、(3シーズン用ではなく)オールシーズン用のテントがよく売れる」とのこと。
そして5階の“映え”スポットが、色別にグラデーション陳列されたペグ(テントを立てる際などに使う杭)のコーナー。正直、「ペグの色までここまで細かくこだわる人っているのか!?」と私はおののいたのですが、「個性を表現したいお客さまはペグも色で選ぶ。写真に写った時にきれいな方がいいという声は多い」とのこと。皆さん本当に細かいところまでこだわっているんですね〜。
5階には「スノーピーク(SNOW PEAK)」「ロゴス(LOGOS)」「コールマン(COLEMAN)」がショップインショップ展開しており、各社の販売員さんも常駐しています。また、「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」がテントなどのキャンプギアをそろえている実店舗はここが初めてなんだとか。
【3階 全国の販売員のスナップから商品を検索】
最後に3階をご紹介。ここはフロアの半分がアウトドアウエアの売り場で、もう半分はフィットネスの売り場。アウトドアウエアのコーナーには、「ザ・ノース・フェイス」「パタゴニア(PATAGONIA)」「コロンビア(COLUMBIA)」「チャムス(CHUMS)」などが並びます。それらと共にドーンと陳列されていたのが、「トライアンタン(TRIANTAN)」というブランド。聞き慣れない方も多いでしょうが、こちらはアルペンのオリジナルブランド。機能素材、機能的デザインを比較的買いやすい価格で打ち出しています。
3階の注目ポイントは、店内のデジタルサイネージでアルペン各店の販売員のスタイリングを表示していること。ファッション業界ではおなじみのバニッシュスタンダードの「スタッフスタート」を導入したものです。販売員の着用アイテムが気に入ればそのままECサイトに飛んで詳細を確認できる仕組み。アパレルを扱う他のフロアでも、「スタッフスタート」を導入しているそうです。
駆け足になりましたが、以上が「アルペン トーキョー」のキャンプ・外遊びフロアの見どころになります。聞くところによれば「アルペン トーキョー」内覧会には、大手セレクトショップや大人気ウィメンズアパレルメーカーの社長らも続々と訪れて、皆さん売り場作りや品ぞろえに興味津々だったとか。スポーツやアウトドアの市場が盛り上がる中で、ファッション系企業各社もアルペンとなんとかタッグが組めないかと、いろいろ考えているんでしょうね。皆さんもぜひ一度、店頭を訪れてみてください。