ファッション

しまむら、都市部への再進出目指す 店舗用地や物件の取得に60億円の予算を計上

 過去最高業績を受け、しまむらが「都市部再進出」を打ち出した。4月4日にリモートで行われた2022年2月期決算会見で鈴木誠社長が語った。同社は07年に「ファッションセンターしまむら」を東京・高田馬場に出店し、以降も10年代にかけて都市部出店を強化した時期があった。しかし、「見積もりが甘く、不採算で多くの店を退店した」経緯がある。「以前の反省を踏まえ、売り上げ予想や家賃比率を厳しく見る」とともに、「土地や物件を取得」し、家賃負担を抑えていく。

 23年2月期中に、都市部出店強化のための店舗開発専任部署を設置する。20年秋に本格スタートした「ファッションセンターしまむら」のEC会員の地域別分布が、首都圏が40%、大阪、名古屋などの大都市圏が24%を占めることから、都市部にニーズがあると判断した。具体的には、「東京・神奈川・埼玉で、人口集積地の主要駅周辺に用地や物件を取得していく。都心出店といっても、銀座や原宿に採算度外視のアンテナショップを作るわけではない」と強調する。「商業ビルを作っていく計画もある」とし、イメージされるのはさいたま新都心の本社横の「ファッションセンターしまむら」「アベイル」「バースデイ」の複合店だ。

 都市部再出店に先立ち、「ファッションセンターしまむら」で立地別MDを進めている。前期は都市部の50店で、同社がJB(Joint Development Brand=サプライヤーとの共同開発ブランド)と呼ぶ短サイクル生産のトレンド商品を拡充したところ、売り上げが12.8%の伸びとなったという。これを受け、23年2月期は対象店舗を250店に拡大。「250店規模になれば、都市部専用商品も作ることができる。都市部のニーズに十分対応できる」と期待する。

 23年2月期は、グループで出店35、退店16の純増19を見込む。「ファッションセンターしまむら」はスクラップ&ビルドが中心となるが、標準面積を1300平方メートルに拡大し、強化しているPB、JBのトレンド商品や、好調な美容関連グッズなどの品ぞろえを厚くし、強みの“宝探し感覚”を磨く。23年2月期は、店舗用地と関西地区に設ける商品センター用地として計100億円を計上。うち60億円前後を店舗用地や物件に充てる。「従来はリース物件がほとんどだったが、コロナ禍を背景によい条件の土地や物件が出てきている」ことが背景にある。

 決算会見では、原料高や為替の影響による値上げも焦点になった。「22年春夏物はレジ値引きの抑制などがうまく効いており、値上げを迫られるほどの影響はない。ただし、22-23年秋冬物の一部で価格見直しが必要になる」と見る。客単価は維持するが、商品1点あたりの単価はアイテムによっては3〜4%ほど値上げする。「機能性肌着などのボリューム商品では値上げはしない。チラシ掲載の一部の特価商品や、PBの中でも一格上の商品などを値上げする」考え。

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