何かと話題をさらった、第94回アカデミー賞の授賞式がロサンゼルスのドルビー・シアターで開催された。「WWDJAPAN」でもセレブリティたちのレッドカーペットでの着こなしがいち早く紹介されている。そんな中注目したいのは、「エコクチュール」を身に纏ったセレブたちだ。名だたるブランドのドレスと着用者に負けない存在感を持ち、生まれてくる工程までも美しいエコクチュールドレスを紹介したい。
タティ・ガブリエル(Tati Gabrielle)は、「テンセル」リヨセル生地で作った「ヘレシー(HELLESSY)」のオフショルダーのケープガウンドレス。アイボリーのドレスのボディには、霜のように滴るフリンジをあしらった。「テンセル」ブランドのリヨセル繊維とは、完全に生分解し、堆肥となる素材だ。
ビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)の母親のマギー・ベアード(Maggie Baird)も、「テンセル」リュクスフィラメント糸で作ったブラックの高級生地に、ブルーの生地を組み合わせた。サステナブルブランド「ベネデッティ・ライフ(BENEDETTI LIFE)」のオーダーメードドレスだ。この素材は、ヴィーガンで持続可能。シルクの代替品となる滑らかさと贅沢なドレープ感を持ち合わせている。フィラメント糸は、厳しいガイドラインに従い管理された森林で育った木材原料由来。処理水もリサイクルし、溶媒を回収率99%以上再利用する環境的に健全なクローズドループプロセスで製造している。
ブロードウェイのベテラン俳優パロマ・ガーシア・リー(Paloma Garcia Lee)は、「テンセル」リヨセル繊維の高級生地とリネンで作った、ボトルグリーンの「パトリック・マクダウェル(PATRICK McDOWELL)」のオーダーメードドレスを着用した。”マリエのエコファッションチェック!”では、土の再生に長期間必要なリネンよりも、同じ麻科でもっと持続可能な繊維を選んで欲しかったから、ちょっぴり”辛口”というところだ。
それでも、どれも美しく、レッドカーペットにふさわしい輝きを放っている。
エシカルファッションやエコファッションと聞くと、従来は生成り色にゴミのような黒っぽい点々が混じるザラザラの生地感をイメージしがちだった。選択肢も少なかったと思う。そんな過去のイメージがあるからこそ、「レッドカーペットに『エコドレス⁈』」と耳を疑ってしまう人も多いのではないだろうか?
アメリカでは若い世代が、高校生活を締めくくるプロムドレスなどにレッドカーペットの着こなしを参考にする。日本ではドレスアップの機会は少ないけれど、着物は文化の持続を謳う意味でも最高のチョイスだ。引き継いだ着物やドレスが、「テンセル」リヨセル生地だったなんて日も来るかもしれない⁉︎