楽天グループは4月5日から、フリマアプリ「楽天ラクマ」をリニューアルし、「ラグタグ」「ブランディア」などのファッションのリユース有力企業130社や並行輸入事業者、農産物の産直業者が参加する「ラクマ公式ショップ」をスタートする。有力なリユース企業の参加により、楽天は個人間取引が中心だった「ラクマ」を、2次流通全体をカバーする「サーキュレーション市場のためのプラットフォーム」と再定義し、王者メルカリを追撃する。松村亮・楽天グループ上級執行役員は、「2016年からラクマ事業に関わってきたが、ずっとメルカリと比べられてきた。それは当社のサービスに差異がなかったことの裏返しでもある。今後は2次流通市場全体を活性化し、大きくするという戦略に舵を切り、独自性を追求していく」という。
楽天は「ラクマ」の流通額を公表していないものの、2021年にダウンロード数が3000万を突破していた。楽天は16年9月に、「メルカリ」に先行する形でフリマアプリを展開していた「フリル」のファブリックを買収。18年に統合していた。当時から同事業の指揮を取ってきたのが、現在「楽天ファッション」を率いる松村亮・上級執行役員だった。「フリマも含むリユース市場は成長を続けており、全体で市場規模は3兆円近くあると言われているが、実は半分以上がBtoCを占める。フリマは10〜30代が多く、一方BtoC市場は30代以上が多い。これらを2次流通市場と改めて定義し、一つのプラットフォーム内で運営することで、市場が活性化する」と指摘する。
「ラクマ公式ショップ」に参加する企業の一つで、「ラグタグ」業態でアパレルのリユース市場を長く牽引してきたティンパンアレイの桜庭邦洋ECグループゼネラルマネージャーは「すでに『ラグタグ』は数多くのECモールに出店してきたが、既存の顧客の多くは30〜40代の男女。『ラクマ』は10〜30代の若年層に強く、相乗効果が高いと感じた。コロナ禍を経て、リアル店舗だけでなく、ECで購入する顧客も増えている」という。同じく「ラクマ公式ショップ」に参加する「ブランディア」を運営するデファクトスタンダードの植松勇人・取締役は「当社のユーザーも30〜50代の女性が多く、新しい顧客の開拓に魅力がある。試験販売では、想定以上に当社の強みであるハイブランドの動きがよく、手応えを感じている」という。
フリマアプリでは、王者メルカリが自社の事業基盤を生かし、ECショップの開設サービス「メルカリshops」をスタートさせるなど、従来の垣根を超えた競争が激しくなっている。楽天の松村上級執行役員は、「リユース企業には、真贋判定や品質管理などの面で、フリマアプリの課題だった『安心・安全』を提供できる強みがある」という。楽天の強みであるポイントを軸に、「楽天市場」「楽天ファッション」などのユーザーを行き来させるクロスセルで、2次流通の新たなプラットフォームを確立させる考え。