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2次流通経済圏、どことどこが組む?
楽天グループがフリマアプリ「楽天ラクマ」を刷新し、「ラグタグ」「ブランディア」といったリユース関連企業を引き入れた2次流通のプラットフォームへと転換させようとしています。フリマアプリといえば「メルカリ」の印象が強く、メルペイなども含めた経済圏が出来上がっていますが、それとは違う形で2次流通全体を網羅するエコシステムを作ろうとしています。
4日の日経新聞に、丸井グループが環境配慮型テナントの比率を3割にまで高めるというニュースがありました。環境配慮型テナントというのは、リユース、リフォームなどももちろん含まれます。楽天、丸井と、オンラインでもオフラインでも2次流通を取り込んで循環型の経済圏を作り出そうとする動きが非常に活発です。1社にできることは限られる中で、各社がどのようにチームを作ろうとしているかに注目しています。
楽天「ラクマ」、フリマアプリ新戦略 「ラグタグ」などリユース企業130社を引き入れる
楽天グループは4月5日から、フリマアプリ「楽天ラクマ」をリニューアルし、「ラグタグ」「ブランディア」などのファッションのリユース有力企業130社や並行輸入事業者、農産物の産直業者が参加する「ラクマ公式ショップ」をスタートする。有力なリユース企業の参加により、楽天は個人間取引が中心だった「ラクマ」を、2次流通全体をカバーする「サーキュレーション市場のためのプラットフォーム」と再定義し、王者メルカリを追撃する。松村亮・楽天グループ上級執行役員は、「2016年からラクマ事業に関わってきたが、ずっとメルカリと比べられてきた。それは当社のサービスに差異がなかったことの裏返しでもある。今後は2次流通市場全体を活性化し、大きくするという戦略に舵を切り、独自性を追求していく」という。
楽天は「ラクマ」の流通額を公表していないものの、2021年にダウンロード数が3000万を突破していた。楽天は16年9月に、「メルカリ」に先行する形でフリマアプリを展開していた「フリル」のファブリックを買収。18年に統合していた。当時から同事業の指揮を取ってきたのが、現在「楽天ファッション」を率いる松村亮・上級執行役員だった。「フリマも含むリユース市場は成長を続けており、全体で市場規模は3兆円近くあると言われているが、実は半分以上がBtoCを占める。フリマは10〜30代が多く、一方BtoC市場は30代以上が多い。これらを2次流通市場と改めて定義し、一つのプラットフォーム内で運営することで、市場が活性化する」と指摘する。
「ラクマ公式ショップ」に参加する企業の一つで、「ラグタグ」業態でアパレルのリユース市場を長く牽引してきたティンパンアレイの桜庭邦洋ECグループゼネラルマネージャーは「すでに『ラグタグ』は数多くのECモールに出店してきたが、既存の顧客の多くは30〜40代の男女。『ラクマ』は10〜30代の若年層に強く、相乗効果が高いと感じた。コロナ禍を経て、リアル店舗だけでなく、ECで購入する顧客も増えている」という。同じく「ラクマ公式ショップ」に参加する「ブランディア」を運営するデファクトスタンダードの植松勇人・取締役は「当社のユーザーも30〜50代の女性が多く、新しい顧客の開拓に魅力がある。試験販売では、想定以上に当社の強みであるハイブランドの動きがよく、手応えを感じている」という。
フリマアプリでは、王者メルカリが自社の事業基盤を生かし、ECショップの開設サービス「メルカリshops」をスタートさせるなど、従来の垣根を超えた競争が激しくなっている。楽天の松村上級執行役員は、「リユース企業には、真贋判定や品質管理などの面で、フリマアプリの課題だった『安心・安全』を提供できる強みがある」という。楽天の強みであるポイントを軸に、「楽天市場」「楽天ファッション」などのユーザーを行き来させるクロスセルで、2次流通の新たなプラットフォームを確立させる考え。
「ディオール」がビューティとファッションアイテムを扱う店舗を日本初出店
「ディオール(DIOR)」は4月16日、ビューティとファッションのアイテムを一緒に楽しむことができる日本初の店舗「ハウス オブ ディオール ビューティー 表参道」をオープンする。表参道にある「ディオール パフューム&ビューティー ブティック」がリニューアルしたもので、フレグランスやメイクアップ、スキンケアに加え、ファッションジュエリーやサングラスなどのファッションアイテムも一緒にそろえる。
「ハウス オブ ディオール ビューティー 表参道」ではピーター・フィリップス(Peter Philips)=メイクアップ クリエイティブ&イメージディレクターが作り出すメイクアップアイテムのほか、同社が誇るサイエンスの研究を取り入れたスキンケアをラインアップ。フレグランスは“ミス ディオール”や“ジャドール”“ソヴァージュ”などのアイコン製品に加え、「ディオール」の世界観を体現する上質なフレグランスコレクション“メゾン クリスチャン ディオール”のアイテムも販売する。さらにフェイシャルトリートメントが受けられる「ディオール インスティテュート」も併設。プレミアムスキンケアライン“ディオール プレステージ”を使用したトリートメント“ディオール プレステージ フェイス&バック トリートメント”(90分、税込2万5300円)は背中や肩の緊張を緩めて体のエネルギーの流れを整え、専用のマスクで瞬時に明るさとキメ細かな肌へと導き、リラクゼーション効果をもたらす。また、世界でフランスと日本のみで展開する“ジェントル マイクロ ピーリング”(30分、同5500円)は優しく角質をケアし、わずか30分で生まれたてのような肌へ導く。
同店のオープンを記念し、限定品も発売する。東京の春に咲く花々からインスパイアされたチークカラーやデイリー使いしやすいブラウンのアイシャドウパレット、唇を春らしいピンク色に彩るリップスティックが登場。さらにフラワーアーティストの東信とコラボしたボタニカルスカルプチュアを24日まで展示する。
■ 「ハウス オブ ディオール ビューティー 表参道」
オープン日:4月16日
時間:11:00〜21:00(日曜日は11:00〜20:00)
住所:東京都渋谷区神宮前4丁目12-10 表参道ヒルズ 本館1F
「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反した性質はどんな文脈から生まれているのでしょうか。