デジタルに投資できる大型ブランドによる寡占化が強まっているのは、高額品消費の主役が従来の60代以上から、デジタルと親和性の高い若い世代へと移り変わっていることが大きく関係している。長年、百貨店の高額品販売を支えてきた年配世代が外出や外商担当者を自宅へ招くことを控える中で、コロナ渦中も資産を増やし続けている30〜40代の新世代富裕層は、海外旅行もできず消費の対象を探している。(この記事は「WWDJAPAN」2022年2月28日号付録の定期購読者特典「ビジネスリポート」からの抜粋です。「ビジネスリポート」にはより詳しい情報も掲載しています)
百貨店各社はそこを狙い、若い世代の外商担当者などを増員。大丸松坂屋百貨店、三越伊勢丹など、もともと外商販売が強い百貨店はもちろんだが、外商接客による囲い込みよりもトレンド性の打ち出しで支持を集めてきた阪急うめだ本店のような百貨店も、「外商強化と共にプライベートアテンドサービスの導入などで、(取引先ブランドを通してではなく)阪急として新世代含めた富裕層とつながっていく」という方針を強めている。
コロナ禍中に百貨店がつながった新世代富裕層は、コロナが明けたらまた海外で買い物をするように戻ってしまう恐れもある。しかし、「もちろんそうした流れも一定はあるだろうが、日本の百貨店のきめ細かなサービスを味わっていただくことで、コロナ後もある程度は定着するはずだ」(大丸松坂屋百貨店)と各社は期待。コロナが明けるまでに、いかに関係性を深め、百貨店のホスピタリティーを感じてもらえるかがカギになる。
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