服地卸大手のスタイレム瀧定大阪(未上場、連結)の2022年1月期決算は売上高が前期比9.2%増の691億円、営業利益は25億円(前期は8200万円)になった。原料、生地、製品、ライフスタイルの部門で増収となったほか、中国を筆頭にした海外事業が好調で、全体を押し上げた。瀧隆太社長は「期初にはリベンジ消費への期待が膨らんだものの、日本のアパレル商況への影響は限定的で厳しかった。中国を筆頭に海外事業が好調だったことと、前期に固定費を削減していたことが利益をコロナ禍前まで戻すことにつながった」という。ただ、今期(23年1月期)の見通しについては「原料、燃料、物流費まであらゆるものが高騰しており、しかも円安。利益面では厳しいだろう」という。
なお、昨年まではグループ単純合算だったが、今期からグループ内取引を消去した連結数値になっており、昨年発表した数字とは異なっている。
品目別の売上高は原料が同8.2%増の18億円、生地が同11.4%増の417億円、衣料製品が同10.9%増の281億円、ライフスタイル製品が同18.4%増の36億円、その他が同37.2%減の11億9500万円だった。
単体では売上高が同7.5%増の624億円、売上総利益は前期比で1.4ポイント改善の15.1%、営業利益は12億5200万円(前期は4億6600万円の赤字)、純利益は20億7800万円(前期は27億円の赤字)だった。売上を伸ばした一方で、前期の構造改革により固定費を削減したこと、販管費も削減し、利益を大幅に押し上げた。
23年1月期は引き続きサステナビリティと3D化とともに、商品構成の見直しや間接費の削減などコスト削減に注力する。3Dに関しては、5000品番をすでに3Dのデジタルデータ化を完了させており、三菱商事ファッションなどのOEMに強い繊維商社との連携も進んでいる。酒向正之副社長は「販売については数量ベースでも国内、海外ともに引き続き伸びる見通しだ。ただ、原料や物流費、円安によるコスト高騰は下期から本格的に効いてくる。製品ごとに効き方はバラバラだが、全体として10〜20%程度は原価を押し上げる要因になる。ただ、小売り価格が変わらない限り、我々サプライヤー側の価格転嫁は難しい。当社は問屋業ということもあって、ある程度まではコストアップ分は吸収していくなるだろう」と述べた。