サステナビリティを頑張るのは何のため?私の場合は「新しいクリエイションを追い続けるため」。循環社会への転換は絶対。その上でファッションが生み出す新しい価値をこれからも探求したい。そんな風に毎日思っております。だからファッションウィークはとても大切です。ファッションデザイナーたちの情熱に触れ、彼らの仕事が輝くビジネスの土台を作ることに貢献するぞ、と改めて思ったのでした。
3月14日(月)
北海道の廃棄漁網が服になる
漁網がファッションウィークの主役になる日が来るとは!「ダイワ(DAIWA)」と言えば、釣り。釣りと言えば魚。魚と言えば北海道(だけじゃない)。漁業に欠かせないのが漁網。その漁網は数年で廃棄、埋め立て処理されているのが現状です。海洋環境改善があってこそ自らに存在意義があると考えたダイワは、その漁網をマテリアルリサイクルし、漁協関係者が着るアパレルへと循環させました。廃棄漁網の再生利用は増えていますが「北海道から出た廃棄漁網を北海道に返す」というシンプルな循環が素敵。ザッツ、クリエイティブですね。
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3月14日(月)
女優陣を蜷川実花が激写!
桃源郷みたいな「トモ コイズミ」
「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」は日本の宝です。小泉智貴デザイナーがすごいのはそのセンスと発想力に加えて、巻き込み力です。彼のためには何か協力したい。周囲にそう思わせる人間力があります。バックステージで蜷川実花さんが女優陣を次々と撮影する(のを見る)なんてことが実現するのもそのたまもの。撮影現場に飾られていたのは桜だけど、そこはまるで桃源郷でした。
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3月16日(水)
「フミエ タナカ」のショーで
空を見上げて涙ぐむ
会場はピリッとした冷たい空気が残る夜の恵比寿ガーデンプレイス中央広場。「フミエ タナカ(FUMIE TANAKA)」のショーのフィナーレでモデルたちは大きな輪を作り、静かに空を見上げました。観客たちも思わず空を見る。その瞬間に多くの人が平和を祈ったはずです。手仕事を取り入れた服はどこかの民族を連想させるけど無国籍。ピュアなエネルギーに感情を揺り動かされて少し涙が出ました。
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3月16日(水)
「タナカダイスケ」は次なる
「トモ コイズミ」になれるか!?
初のショーを披露した「タナカダイスケ(TANAKADAISUKE)」。手仕事を生かしたドレスが中心でカワイくて少しダーク。彼の服はエンターテインメントの世界で活躍しそうです。なぜならレッドカーペットのドレスはかつて主流だった「ボン、キュッ、ボン」なセクシードレスから、着る人の個性を生かしたスタイルへと変わりつつあるから。世界のエンターテインメントに愛されている「トモ コイズミ」に続いてほしい!
彼をサポートしたのは母校の大阪文化服装学院。私も20年近く同学院の卒業審査会などに関わっており、「クリエイションを教える」センセイたちの苦悩を含めて近くで見てきたのでこういう逸材の登場が嬉しいです。
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3月17日(木)
デザイナーがマイクを手に語ることの重要さ
「CFCL」がリアルでイベントを行った、その一番の魅力は代表兼クリエイティブディレクターの高橋悠介さん自身が冒頭にマイクを手に登場し「パリで発表して思うこと。なぜこのような形式をとったか」などについてしっかり語ったことにあると思います。“会いに行けるデザイナー”とでも言いましょうか。もちろん、オンラインでも話は聞けますが肉声って何か違う。記憶に刻まれます。
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3月18日(金)
瞑想へ誘われたらそこは展示会だった
ファッションのイベントで「瞑想しに来ませんか?」と誘われるのはレアケース。ウキウキと向かうとそこは心落ち着く瞑想ルームでした。3人でおじゃまして、3人で(当たり前だけど)無言で瞑想をして、最後に静かに服を見ました。心地良かったです。「シングス ザット マター(THINGS THAT MATTER)」は毎月異なる“感覚”に着想した5型程度のアイテムを受注生産販売するブランドです。つまり余剰在庫なし。こういう考え方に共感する女性は多いはず。
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3月18日(金)
パルコがサステナイベント
「ドミューン」でディープにトーク
渋谷パルコがサステナブルをテーマにしたイベント「サイクル」を開催し、その一環で「ドミューン(DOMMUNE)」のライブ配信に参加しました。自分でも言うのも何ですが、ドミューンの宇川直宏さんと私はナイスコンビでして、ここ数シーズンは最新コレクションを題材に私がベースを解説し、博識な宇川さんが音楽を軸に話を深めるというパターンが定着しています。今回はそこにサステナブルという切り口も加わり一層ディープに。学生時代、放課後の教室で時間を忘れて趣味の話をしている友達みたいな感じで止まりません。野放図なトークを自由にさせてくれる渋谷パルコが偉いと思う。
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3月19日(土)
土曜日夜に「トーガ」のショーの幸せ
クリアケース3箱分ある「トーガ(TOGA)」をいったん全て引っ張り出してから一着を選び、一杯飲みながらメイクをしてのんびりと2022-23秋冬コレクションのショー会場へ。なんて幸せな土曜日の午後!今シーズンも欲しい服がたくさんあったので欲しい順番に写真を並べました。
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3月23日(水)
23歳のインフルエンサーは良い意味で戦略家だった
先月、こちらの日記で紹介したYAMATOさん。「SDGsを勉強したい」という彼に「連絡待ってます」と返したら即、編集部に遊びにやって来ました。有言実行、偉い!170万のフォロワーを持つ彼のTikTokはインドネシアやブラジルなど海外のファンが多いのですがその背景には、投稿内容や時間帯など実によく考えられた戦略があるということを知りました。日本の芸能界は海外へのアプローチが弱いイメージがありますが、彼は自分の手で世界からの「いいね」を勝ち取っています。そしてその発信力を生かしてSDGsについて自分なりに発信してゆきたいと言う。頼もしいです。
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3月24日(木)
アディッション アデライデを「ジャックムス」がハック
これぞまさに“ハック”。セレクトショップのアディッション アデライデ(ADDITION ADELAIDE)が一時的に全面的に「ジャックムス(JACQUEMUS)」仕様にリニューアルされています。つまりはポップアップですが、この一時的に“乗っ取る”感じ、いいですね。「ジャックムス」の服やバッグはシュールな世界観を持ちつつ、エレガント。パリのクチュールメゾンを彼が手がける日が近い予感です。
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3月24日(木)
ゴールドウイン×スパイバーのオンライン会見にのめり込む
中身が濃く、未来を見据えた会見でした。オンラインのイベントって途中でついつい気を抜きがちですがこちらは最初から最後まで集中して参加。循環型社会や近未来の素材について語るゴールドウインの渡辺貴生社長(写真右)とスパイバーの関山和秀取締役兼代表執行役(写真中)の言葉を理解しようと必死でした。面白かった!
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3月24日(木)
「マメ クロゴウチ」の展示会で
縄文時代へ思いを馳せる
「マメ クロゴウチ(MAME KUROGOUCHI)」の展示会には着想源となった長野の自然や文化、特に縄文の世界が展示されていました。何がすごいって、デザイナーの黒河内真衣子さんのノートがすごい。そこには博物館に通い描いた縄文土器の写し絵の数々。デザインの参考にしたいのなら写真だっていいはずです。でもこうやって手を動かすことでそれを描いた縄文の人たちの感覚まで受け取ろうとしているように思えます。以前、長野の茅野市尖石縄文考古館で国宝の土偶“縄文のビーナス”などを見たとき受けた「4000~5000年前ってそんなに昔のことでない気がする」という不思議な感覚をここでも受けました。
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