スニーカーにまつわる噂話のあれやこれやを本明CEOに聞く連載。かつて原宿には、世界中からありとあらゆるスニーカーが集まって、道を歩けば世界一多くのレアスニーカーが見られる、という都市伝説みたいな時代があったそうだ。今、その役目を担っているのは、街行く在留外国人で、彼らがスニーカービジネスを支えているといっても過言ではない。今回は、日本人はいつのまにか世界から置いてけぼりになっちゃった……という話。(この記事はWWDジャパン2022年2月21日号からの抜粋です)
本明秀文CEO(以下、本明):アメリカやヨーロッパではマスク着用規制の解除が進んでいるし、コロナ禍が終わりかけているように見える。僕はほぼ毎日原宿で打ち合わせをしてるけど、このごろ、外国人がすごく増えた。入国制限があるから買い物に来るのは在留外国人がほとんどだけど、日本に280万人以上住んでいるからね。彼らの方がいいスニーカーを履いている。そこで話している彼(中国人)も、スニーカーを3足も買っているでしょ。
――「スーパーボウル」も同じ地球上とは思えないぐらい盛り上がっていましたよね。
本明:アメリカの知人らが日本のスニーカーのリセール価格を見て驚いている。世界で一番スニーカーが安く買える、と。これまでは日本がスニーカーマーケットをけん引していたのに、今では世界で一番スニーカーが安く売られている……。ファッションも国力とともに確実に衰退しているね。日本はコロナを経て活力がなくなった。僕は世の中の流れを象徴するのが本屋だと思っている。新宿の紀伊國屋書店に行くと、「45歳でリタイアする不動産投資術」みたいな本がたくさん平積みされているから、働きたくない人が多いんだと思う。パンデミックが起こると金持ちと貧乏人の差がなくなるはずなのに、今回のパンデミックでは、金持ちはどんどん金持ちになり、貧乏人はどんどん貧乏になった。特に日本人はコロナを機に停滞して、気付いたときには世界から置いてけぼり。浦島太郎みたいな状態だね。
――“失われた2年”ですか……。
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