アディダス(ADIDAS)は、オレゴン州を拠点とするスタートアップ企業ザ・リニューアル・ワークショップ(THE RENEWAL WORKSHOP、以下TRW)と協業し、アウトドア・スポーツレーベル“アディダス テレックス(ADIDAS TERREX、以下テレックス)”で循環型プロジェクトを実施した。
古着のリサイクルやアップサイクルなどを専門とするTRWの知見を活用し、“テレックス”の古着を使った限定カプセルコレクションを制作した。古着は、スポンサー契約を結んでいるアスリートやブランドの従業員から集めた。アイテムは販売せず、アディクラブ(adiCLUB)会員に抽選で1人に1点プレゼントする。そのほかのアイテムは、元の持ち主に返却する。
北米のアディダス・テレックスとファイブテン(FIVE TEN)事業の責任者であるマイケル・カドゥス(Michael Kadous)は、販売こそしないものの、今回の取り組みの成果は同社のアップサイクルや再利用に関する将来的な戦略の大きな糧となるだろうという。「“テレックス”では、商品寿命を出来る限り伸ばす努力を続けている。TRWと協業した目的は、デザイナーたちに新たなインスピレーションを与えることだった。その結果、アスリートや従業員の古着を生まれ変わらせることで、新たな冒険のストーリーを紡ぐコレクションが出来上がった」とコメント。
TRWは2016年に創業。廃棄予定のアイテムのうち82%が再利用・再販売が可能であるという前提のもと、提携先のブランドから回収した古着の修繕・再販のほか、廃棄衣料やテキスタイルを再生素材や原料にする事業を手掛ける。提携ブランドは「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」「チャンピオン(CHAMPION)」「コス(COS)」など。
今年3月にはサプライチェーンマネージメント会社のブレックマン(BLECKMANN)に買収された。TRWのニコル・バセット(Nicole Basset)=共同最高経営責任者兼共同創業者は、「古い商品の再販売は、気候危機に実際に変化をもたらすポテンシャルがある。ファッション、ライフスタイル、電子機器の分野で顧客を持つブレックマンは、業界全体で中古品の再販売をスケール化する理想的なパートナーだ」と話した。TRWは2年前にアムステルダムに工場を開設しており、今回の買収でヨーロッパへの進出がさらに加速することになる。