モデルのTakumaが、ノットイコールの支援で新ブランド「アビセア(ABYSSEA)」を今春立ち上げた。同氏がデザインを手掛けた第1弾のアイテムを、ラフォーレ原宿でのポップアップストアで4月29日に発売する。Takuma はTikTokフォロワー約420万、インスタグラムフォロワー約75万(2022年4月8日現在)を抱えるインフルエンサーでもあり、ミステリアスな佇まいや鍛え上げられた肉体で、国内外の多くのファンが注目。公式SNSのコメント欄は多様な言語でにぎわっている。過去にはアパレルブランド「エスピナ(ESPINA)」を立ち上げ、運営していた経験があり、美意識の高い同氏が作る服にはどのようなこだわりがあるのか。本人に聞いた。
WWD:「アビセア」のデビューコレクションはどんな思いを込めてデザインした?
Takuma:一発目なので、無駄なものを取り払って、差別や片寄った偏見をなくしたいというメッセージを込めたんです。これから発表し続けていく中で今回のアイテムは基本になっていくので、ミニマルなデザインにしました。ここから徐々にアレンジしていくと思います。
WWD:特にこだわった点は?
Takuma:今までにないものを作りたかった。例えばジーンズはストレッチの効いた素材を使ってるんですけど、それでダメージ加工するのってすごく難しい。クレームが届いたりB品が出てしまうことも珍しくないので、工場からNGが出ることが多いんです。でも今回はどうしても作りたかったので、あえて難しい素材を使うことにしました。
WWD:以前運営していたアパレルブランド「エスピナ」とはどう違う?
Takuma:「エスピナ」はファンのために作っていた服で、「アビセア」は自分が作りたい服という感覚。インフルエンサーが服を作って売るだけなら、ただ人気をお金に変えているだけなんじゃないかってふと思ったんです。であれば、その発信力を社会貢献に役立てたい。だから「アビセア」の服を通して、社会が良くなるメッセージを発信していきたいんです。だからハンガーは廃材で作り、タグは紙製にして、洗濯したらボロボロになるかもしれないけど、それも味として楽しんでほしい。
WWD:生産背景は?
Takuma:可能な限りは極力、日本で生産しています。価格帯はTシャツで1万円前後、パンツで2万円前後、ジャケットで2〜4万円前後と安くはなく、若いファンは買いづらいかもしれない。でも無理して工場に負担をかけたくなかったし、それでもファッション感度の高い人に着たいと思わせる服作りに挑戦したかったんです。
WWD:「アビセア」の今後の目標は?
Takuma:最終的には、世界中のみんなに着てほしい(笑)。やっぱり着る人によってそれぞれの良さが出るから、いろんな人が着ているブランドのほうがおもろいんですよね。だから「アビセア」が、男の子も女の子も、おじいちゃんもおばあちゃんも着ているようなブランドになったらいいなと思います。
大切なのは、
トレンド感と自分らしさのバランス
WWD:SNSを始めたときから意識してきたことは?
Takuma:最初から意識していたのは、自分の軸を持ちながら、トレンドのインフルエンサーを表面的にまねることです。インフルエンサーにもトレンドがあって、時代に個性が合致してフォロワーが一時的に増えても、半年くらいすると伸び悩んだり減ったりするんです。それを見ていて、もったいないなって。
でも、トレンドばかりを追いすぎると一時的なファンしかつかんから、トレンド感と自分らしさのバランスは大事にしてたんです。それがうまくいって、インスタグラムのフォロワーは始めて半年で2万、1年経ったころには10万くらいになりました。
WWD:モデルとして表舞台に立つのと、作り手として裏方に回るのはそれぞれどんな楽しさがある?
Takuma:モデルしているときはちょっとナルシストになれます。自分をかっこいいなと思えたり、こういうのも似合うんやって気付きがあったり。新しい自分に出合える楽しさがありますね。
でも、僕は裏方のほうが好きかな。作っているときは、自分が手掛けたものが世に出たとき、どんな反応が返ってくるかや、どれだけ反響があるかを考えながらやっているので、それも楽しいです。
WWD:自分にはどっちが向いていると思う?
Takuma:今はインフルエンサーとデザイナー半々ですが、ゆくゆくはデザイナーを本業にしたいですね。でも、今後もインフルエンサーとして発信すべきことを発信していきたい。どちらの自分も強くしたいですね。
WWD:最後に、インフルエンサーを目指す人にメッセージを
Takuma:軸をぶらさず継続することが大事。僕も今は見てくれる人がおるから「 載せなあかん!」って思うんですけど、やっぱり最初はリアクションもあまりないので、モチベーションが上がらないんです。でも、まずはその第一関門を乗り切ること。ただ、新しいことをしないと飽きられるのも早いから、挑戦し続けることと、軸をぶらさず継続するバランスが大事ですね。