ファッション

「グッチ」2016-17年秋冬ミラノ・メンズ・コレクション

REPORT

殺風景なガレージの中に一歩入ると、そこは真っ赤なカーペットを敷いた劇場が広がっていた。前回同様の会場で長いランウエイを用意し、来場者を一気にアレッサンドロ・ミケーレのドラマチックな世界観に引き込む。どこかギーク、けれどロマンチックなムードを兼ね備えたスタイルは、性差や時代のボーダーを取り払った折衷主義を継続。今季は映画監督のウェス・アンダーソンの世界観のような70’sの要素をさらに強め、トレンドのグランパスタイル(おじいちゃんの洋服を引っ張り出して着たようなレトロなスタイル)も示唆している。

ミケーレの手にかかれば、世代の壁もなんのそのだ。イメージは、おじいちゃんのおさがりのセットアップに、自身の幼少期の愛用品を合わせたようなユルいミックス感。スヌーピーのランニングウエア、テディベアがちりばめられたニットカーディガン、ダメージデニムなどからは、愛着を感じる着古した風合いが漂う。インテリアファブリックのようなレトロな色柄のウエアは、クローゼットに長く眠っていたものを慌てて引っ張り出したのか、随所に折りジワがあり微笑ましい。背中には、動物モチーフを愛するミケーレらしい、クジャクやヘビたちのエンブロイダリーでひとさじの毒気を加えた。ファッショニスタを魅了したファー付きのホースビットローファーは、チェック柄をはじめバリエーションが広がっている。

細部にわたる70'sの世界観に圧倒されるが、アイテムを単品で見てみると「グッチ」らしいクラシックが基盤にあることがわかる。先シーズンに比べフォーマルなセットアップが充実。こっくりとしたビンテージライクなカラーパレットがあふれる中で、時折シンプルなTシャツとスラックスといったワードローブが登場し、夢からさめたように現代に引き戻された。時代・世代間を行き来しながら、テーラードやストリート、クラシック、オタク的カルチャーといったスタイルも自由に横断する、ミケーレ流の現代のマスキュリンが再定義された。

LOOK

 

BACKSTAGE

 

関連タグの最新記事

ファッションの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

リーダーたちに聞く「最強のファッション ✕ DX」

「WWDJAPAN」11月18日号の特集は、毎年恒例の「DX特集」です。今回はDXの先進企業&キーパーソンたちに「リテール」「サプライチェーン」「AI」そして「中国」の4つのテーマで迫ります。「シーイン」「TEMU」などメガ越境EC企業の台頭する一方、1992年には世界一だった日本企業の競争力は直近では38位にまで後退。その理由は生産性の低さです。DXは多くの日本企業の経営者にとって待ったなしの課…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。