TSIホールディングスは2025年2月期を最終年度とする中期経営計画を発表した。営業利益は22年2月期実績44億円の1.8倍増となる80億円を掲げる。成長戦略の骨子はリアル店舗偏重の売上構成から収益性の高いECへと軸足を移す「デジタルシフト」と、非アパレルに事業領域を広げる「脱アパレル」だ。
「全社をデジタル最優先の組織体制にシフトする」。14日に行われた同社の22年2月期決算会見(オンライン配信形式)で、下地毅社長はそう語った。同社の25年2月期の売上高目標は1896億円。22年2月期実績1403億円とのギャップの大部分を埋めるのは、EC売上高の成長だ。25年2月期のEC売上高目標は760億円。22年2月期実績429億円からは1.8倍近い成長を見込む。商品企画から仕入れ、販売に至るまでのサプライチェーン全体をECを前提に再設計する。ECではエンターテインメント性のあるコンテンツを強化し、回遊性と訪問頻度を高める。
リアル店舗は「ブランドの世界観を体現する、贅沢な価値体験の場」として機能させる。大型店舗や一等地店舗を25年2月期末までに100店舗程度出店・改装。低収益事業・店舗は収束を進め、顧客をECに誘導する。
「脱アパレル」の方針としては、これまで衣料品販売で培ってきたブランド力や顧客基盤を核に、ライフスタイルやエンターテインメントといった非アパレル領域にも進出する。事業カテゴリーを「ウェルネス&ライフスタイル」「ストリート&カルチャー」「ファッションキャピタル」「デジタルジェネレーション」の4つに再編。カテゴリー内ではブランドの垣根を超え、さまざまなコンテンツ開発や顧客コミュニティーの形成を進める。
これまで屋台骨だった婦人服に変わり、柱となるのはゴルフ、アスレジャーなどの「ウェルネス&ライフスタイル」の領域だ。同カテゴリーの25年2月期売上高は752億円を計画する。主力のゴルフブランド「パーリーゲイツ(PEARLY GATE)」ではイベントの開催などでファンコミュニティーを作り、さらなるビジネスの拡大を狙う。「ステューシー(STUSSY)」「ハフ(HUF)」がけん引する「ストリート&カルチャー」領域(25年2月期の売上高計画405億円)と合わせて、全社の売り上げの半分以上を稼ぐ。
Z世代などに向けた「デジタルネイティブ」領域も、婦人服の「ファッションキャピタル」領域(同200億円)と同等の202億円まで成長させる。インフルエンサーやタレントなどをディレクターに据えて仕掛けるD2Cブランド事業は既存の「エトレトウキョウ(ETRE TOKYO)」「メクル(MECRE)」に加え4ブランドを立ち上げ予定で、計35億円の事業規模を目指す。