ファッション

心を掴む「レッドカーペット」ルックとは? 常連たちのスタイルを分析 ポッドキャスト連載:考えたい言葉 vol.20

 「WWDJAPAN」ポッドキャストシリーズの連載「考えたい言葉」は、2週間に1回、同期の若手2人がファッション&ビューティ業界で当たり前に使われている言葉について対話します。担当する2人は普段から“当たり前”について疑問を持ち、深く考え、先輩たちからはきっと「めんどうくさい」と思われているだろうな……とビビりつつも、それでも「メディアでは、より良い社会のための言葉を使っていきたい」と思考を続けます。第20弾は、【レッドカーペット】をテーマに語り合いました。「WWDJAPAN.com」では、2人が対話して見出した言葉の意味を、あくまで1つの考えとして紹介します。

若手2人が考える【レッドカーペット】

「レッドカーペット」は、公式な催事などの際に、高官や著名人など、要人を歓迎するために使われるものとして知られている赤い絨毯のことを指す。エンタメ業界では、映画祭や授賞式、プレミア試写会といったイベントの際に、アーティストや俳優陣、製作者らが来場するときに使われる。晴れの舞台を彩るもので、ドレスアップした著名人らが“映える”よう赤い色を使用すると言われている。

 エンタメ業界のレッドカーペットは、ファッションシーンとしても注目だ。話題のスターやセレブらがレッドカーペットを歩く際にどのブランドを着用して、どのようにコーディネートするかなど、その着こなしを楽しむのもエンタメの一つとなっている。ブランドのグローバル・アンバサダーを務める著名人らは、こういった主要イベントでブランドアイテムを着用してアピールすることも。例えば、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のグローバル・アンバサダーを務めるK-POPグループのBTSは、たびたび公式の場で同ブランドのアイテムを着用して登場している。

 レッドカーペットでの着こなしは、アクセサリーやメイク、ヘアスタイルとどう合わせているかや、その人らしさが活かされているか、テーマに即した格好をしているか、といったさまざまな要因によって人の心を掴むかどうかが決め手となる。レッドカーペットの装いに定評がある“常連”に名前が上がるのは、メイクやヘアースタイルと装いを自分らしく合わせることを得意とする俳優のゼンデイヤ(Zendaya)や、テーマ性のあるイベントでオリジナリティーを存分に発揮するレディー・ガガ(Lady Gaga)、ジェンダーの流動性を楽しむスタイルを披露するハリー・スタイルズ(Harry Styles)、リル ナズX(Lil Nas X)ら。

 3月の第94回「アカデミー賞(Academy Awards)」の授賞式では、ゼンデイヤとティモシー・シャラメ(Timothee Chalmette)がジェンダーに基づくドレスコードに挑戦したルックを披露したと話題になった。ゼンデイヤは「ヴァレンティノ(VALENTINO)」の白いクロップド丈のメンズシャツに、シルバーのスカートを合わせて登場。ティモシーは、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」2022年春夏コレクションから、ウィメンズのスーツのセットアップを選択。レースが施されたデザインスーツを、シャツなしで本人らしく着こなした。

 また、今年度の「アカデミー賞」におけるトレンドカラーは、赤と見られる。来場者のうち8人がはっきりとした明るい赤を選択した。中でも、「ヴァレンティノ」を着用したアリアナ・デボーズ(Ariana Debose)や、「キャロリーナ ヘレラ(CAROLINA HERRERA)」を着用したトレイシー・エリス・ロス(Tracee Ellis Ross)のように、胸元のカットアウトが特徴のドレスに注目が集まった。自粛ムードから一転して、明るく華やかなものを求める気持ちが高まっているのかもしれない。

同年の「グラミー賞(Grammy Awards)」の第64回授賞式では、歌手J. バルヴィン(J. Balvin)はデザインを施したブルー、アーティストのディプロ(Diplo)もターコイズブルー、ザ・キッド・ラロイ(The Kid Laroi)はピンクの髪色で来場。ギタリストのオメル・フェンディ(Omer Fendi)も赤い髪色で登場した。Z世代はカラーを入れたり、ハイトーンの髪色をしたりも多いと言われる中、43歳のディプロもブルーヘアーで登場したことが話題となった。ヘアカラーの選択に際しては年齢やTPOを意識する心理が働きがちな中、公式の場に堂々と派手髪で登場したこと注目が集まった。ほかにも、生分解する素材を使った“エコドレス”の選択も増え、「公式の場に何を着るか」に想いを馳せたセレブリティーが新しい“当たり前”の構築に貢献していると言えるだろう。

【ポッドキャスト】

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ポッドキャスト配信者

ソーンマヤ:She/Her。翻訳担当。日本の高校を卒業後、オランダのライデン大学に進学して考古学を主専攻に、アムステルダム大学でジェンダー学を副専攻する。今ある社会のあり方を探求すべく勉強を開始したものの、「そもそもこれまで習ってきた歴史観は、どの視点から語られているものなのだろう?」と疑問を持ち、ジェンダー考古学をテーマに研究を進めた。「WWDJAPAN」では翻訳をメインに、メディアの力を通して物事を見る視点を増やせるような記事づくりに励む

佐立武士(さだち・たけし):He/Him。ソーシャルエディター。幼少期をアメリカ・コネチカット州で過ごし、その後は日本とアメリカの高校に通う。早稲田大学国際教養学部を卒業し、新卒でINFASパブリケーションズに入社。在学中はジェンダーとポストコロニアリズムに焦点を置き、ロンドン大学・東洋アフリカ研究学院に留学。学業の傍ら、当事者としてLGBTQ+ウエブメディアでライターをしていた。現在は「WWDJAPAN」のソーシャルメディアとユース向けのコンテンツに注力する。ニックネームはディラン

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