「アメリ(AMERI)」は立ち上げの2014年から週2回、4〜5型の商品投入を続けている。ECを訪問する客を飽きさせないために始め、それがEC成長の原動力にもなった。現在は国内外に実店舗6店(うち1店はブランドビンテージアイテムの専門店)を構えているが、週2回の投入は継続している。「型数は今後やや減らしていきたいという考えはあるが、減らしすぎるのもお客さまにとってよくない。とは言え、在庫を残してしまうことがブランドにとって一番の毀損につながる。発売半年前の展示会の段階でインスタグラムで告知して行う先行受注などで需給バランスを見極め、発注数量は厳しくつけている」と、同ブランドを運営する黒石奈央子ビーストーンCEOは話す。しかし、展示会時点で全商品の先行受注を行うというわけでもない。「全部見せてしまうと、お客さまがシーズンに入る前に飽きてしまう」からだ。
こうした緻密な組み立てにより、「アメリ」の最終消化率は2021-22年秋冬が約97%での着地だったといい、22年春夏も同様の進捗という。ただし、この数字は買いたくても買えないファンが相当数出ていることを表すものでもある。
21年10月に会員向けサービス「Amate」を開始したのはそうした背景から。「Amate」は月会費1100円と2200円の2プランがあるが、それぞれの特典に一般発売の前日から商品を購入できる権利が含まれる。「注目度の高い商品は、会員の先行購入後、一般発売して1〜2分で売り切れるというケースも多い。会員の先行購入だけで売り切れることもある」という熱量だ。もちろん、在庫の持ち方についてはブランドや企業ごとにそれぞれ考え方があり、一概に何が正しいとは言い難いが、「アメリ」はこのスタイルを貫く。
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