2月から3月にかけて欧米で開かれた2022-23年秋冬ファッション・ウイークは、参加ブランドの大半が対面での発表を行い、パンデミック前のような活気を取り戻した。ショーの規模感や世界中から集う大物セレブリティー、会場周辺で待ち構えるスナップフォトグラファーやファッションキッズのにぎわいも、ほぼ元通り。マチュー・ブレイジーによる新生「ボッテガ・ヴェネタ」のデビューショーなど話題にも事欠かず、リアル開催の完全なカムバックを印象付けた。
一方で、復活を祝うムードに影を落としたのは、ミラノコレ序盤の2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻だ。地理的にも近いヨーロッパでは、現地に友人がいたり、仕事で付き合いがあったりと身近に感じている業界人も多い。日々深刻化するウクライナの状況に、皆が自分たちの非力さや、仕事といえどもショーを見ている場合なのかという葛藤を感じつつ過ごすシーズンだった。
そういった状況下でも、自身も難民として故郷を追われた過去がある「バレンシアガ」のデムナをはじめ、デザイナーたちはショーを通してメッセージを発信したり、支援への参加を呼びかけたりと、アクションを起こした。その姿は心を揺さぶるだけでなく、自分たちが今の社会に対してできることをあらためて考え行動するきっかけにもなった。
既成概念にとらわれない自由な感性
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