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ジェニファー・ロペスが語る「マリー・ミー」主人公の波乱恋愛劇【エンタメから読み解くトレンドナビ Vol.3】

 映画やドラマなどのエンタメを通して、ファッションやビューティ、社会問題などを読み解く連載企画「エンタメで読み解くトレンドナビ」。LA在住の映画ジャーナリストである猿渡由紀が、話題作にまつわる裏話や作品に込められたメッセージを独自の視点で深掘りしていく。

 第3回は、映画「マリー・ミー(Marry Me)」主演のジェニファー・ロペス(Jennifer Lopez)にインタビュー。同作のヒロインと共通する自身の境遇や、劇中に披露される衣装について話を聞いた。

 52歳にして、まだまだ女盛り。モテ男、モテ女がそろうハリウッドでも“恋多き女”で知られているジェニファー・ロペスは、最近もまたベン・アフレック(Ben Affleck)との婚約ニュースで世間を騒がせている。ジェニファーとベンの婚約は2回目。1回目は、結婚式の数日前になって急遽延期となり、その4カ月月後に二人は破局した。

 ドタキャンの理由は、ぎりぎりになってベンがジェニファーとの結婚に怖気付いたことだと報道されている。破局の5カ月後には、歌手のマーク・アンソニー(Marc Anthony)と結婚して立ち直りの早さを見せつけたジェニファーだが、全世界の見つめる中でウエディングが中止になった時にはさすがに傷つき、屈辱を感じたようだ。

 

主人公と共鳴するバックグラウンド 

 そんな彼女は、最新主演作「マリー・ミー」で、同じような状況を描いてみせる。ジェニファー演じる主人公キャットは、大人気のポップスター。彼女と人気シンガーであるバスティアンは、ファンを前にしたライブコンサートの中で結婚式を挙げようとする。だが、それと同じタイミングで、バスティアンが浮気をしていた事実がネットで暴露された。ショックを受け、何も考えられなくなったキャットは、バスティアンではなく、ファンの中にいた一般男性チャーリーに「私はあなたと結婚する」と宣言してしまった。

 キャットと自分との間に共通点がたくさんあると認めるジェニファーは、「この役にリサーチは不要だった」と語る。「有名な歌手であるというのはどんなことか、私は知っている。ブランドとコラボするのがどんなことかということも。そして、世界が見つめる中で失恋をして、それがメディアに取り上げられた時、どう感じるのかということもね。そこを演じるのはちょっと辛くもあったけれど、私自身がシーンに真実を持ち込めるチャンスはたくさんあった」。

 セレブリティと一般人の恋愛物語というこの設定はいかにも少女漫画だが、実際、原作はグラフィックノベルだ。ジェニファーとは長い関係にあるプロデューサーのエレイン・ゴールドスミス=トーマス(Elaine Goldsmith-Thomas)は、この企画をどこかに売り込むたびに「あまりに現実離れしている」と拒否されたと振り返っている。

 たしかにそれは普通の感覚だが、ジェニファーの私生活を考えると、彼女の場合、必ずしもそうではない。彼女が有名になってから結婚した最初の夫はウエイターだし、次の夫はバックダンサー。ジェニファーより24歳も下のマルーマ(Malum)が婚約者役を演じているのも、彼女がかつて17歳下の男性と付き合っていたことを思えば、あり得なくもないだろう。良くも悪くも、華やかすぎる恋愛遍歴がゴシップをにぎわせてきたことで、このストーリーに信憑性が出ているのだ。

 「ソーシャルメディアが出てきて、有名人である私たちの日常は、より厳しくなった。ソーシャルメディアはタブロイドよりももっと私たちを不安に陥れる。ゴシップ雑誌だけだった頃は、『もうすぐこのことを書かれてしまうらしい』『でも、そんなに大きくは出ないんじゃないか』というような、いわば猶予期間があった。今は、何かが起きた時に誰かがスマホを向けて、それがたちまちシェアされてしまう。公の目にさらされている人間にとって、そこをコントロールするのは難しい。特に私生活で嫌なことが起きた時にはね。キャットみたいな思いは、誰にもしてほしくない」。

 

着用したウエディングドレスは約40キロ 

 そんなネガティブな面だけでなく、この映画は、セレブリティだからこそ得られる華やかな体験も描いていく。とりわけ衣装は魅力的だ。ライブコンサートでの衣装やレコーディングスタジオでの服装、そしてこの映画のポスターにもなっている「ズハイル・ミュラド(ZUHAIR MURAD)」のウエディングドレスまで、劇中でジェニファーは素敵なファッションの数々を披露している。

 「あのウエディングドレスは最高に素敵だったわ。でも、実はとても窮屈なの。約40キロもあるドレスを着て4日間も撮影するのは楽じゃなかったわね。もう一つのお気に入りは、『On My Way』を歌うシーンの服装。コーラルカラーのスエードパンツ、セーター、帽子というスタイルよ。私はあの歌も大好きなの。今作のためにオリジナル曲がたくさん書かれて、アルバムも同時に制作したけれど、『On My Way』は誰もが共感できる感情を伝える歌。自分がおかしたミスについて辛く感じることは誰にでもあるでしょう。だけど、そこには希望もあるの。私も、自分が過去に経験した失敗が、今いるところへ導いてくれたんだと思っている」。

 3回の離婚、2回の婚約破棄を経て、今、再びベンと真の愛を築こうとしているジェニファー。そんな彼女にとって最高にロマンチックな時間とは?「パパラッチがいない、誰にも見られないところで二人きりでいられる時間。愛する人と一緒に人生や愛について語り合う。お互いといる喜びを、ただ満喫できる。それが理想ね」。

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