毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2022年4月25日・5月2日合併号からの抜粋です)
皆合:これまでもサステナビリティ特集を担当してきましたが、今回も難しいテーマでした。モノ作りをする人に向けて、少しでも疑問や悩みを解決できればと始めましたが、サステナビリティは「これだけやればOK」というものもないですし、正解もない。皆がオンゴーイングで学びながら、進歩しているのが現状です。私たちも一緒で、本当にこれでいいのかとか、これで伝わるのかとか、悩みながら、チームで細かく相談しながらでしたね。
木村:そうですね。今回伝えたかったことは、「こういう素材はOK」「こういうのはNG」という“正解”ではなく、「これから素材を選ぶ際に、風合いや価格以外の全体を俯瞰する視点を持ってください」ということ。サステナビリティって“持続可能”ということですが、例えば、ペットボトルのリサイクル素材に需要が集中して、原料となるペットボトルが不足してしまったらそれって“持続可能”ではないですよね。どういうものでも“持続可能”でなくなる可能性があるからこそ、「全体を見て素材を選ぼうよ」ということを伝えたいと思いました。
皆合:本当にそうですね。環境に配慮して作られた素材でも化学染料を使って染めざるを得なかったり、“素材”だけを見るのでは足りなくて、全体を見ていくことが必要。状況も技術の進歩も刻一刻と変わっていくので、私たちの得たことを共有して、そこから読者や取材先と一緒に考えることが大事だと思いました。
木村:はい。やはり、コミュニケーションが大事ですね。生地メーカーも、アパレル企業やデザイナーとの対話によって、素材のバリエーションを増やしたり、進化させたりしていると聞きました。そういうコミュニケーションが新しいものを生んだり、サステナビリティの動きを発展させていると感じました。
皆合:私は、表紙に登場した「ニアーニッポン」のスタンスも素敵だなと思いました。環境を意識しているけれど、自分たちがしたい表現に合った素材を適宜選んでいて、今できることを無理なく取り入れています。そういう柔軟性は、持続可能にやっていく上で、大切なこと。私たちもバランスをとって、視野を広げ、考え、進んでいきたいですね!