“生分解性”という言葉を耳にすることが増えた人も多いだろう。しかし、生分解性と書かれていても高温多湿などある一定の条件下でないと分解が促進されないことが多く、また、国によって回収方法や回収後の処理はさまざまだ。“土に還る”といった表記を目にすることも増えたが、どのような条件で分解するかまでを示したものは少ない。連載中編では、“生分解性”という言葉について、どのような特性が注目なのかを識者2人の対談から考えたい。
WWD:“生分解性”という言葉について、私自身誤解を招く言葉だと感じています。仮に土壌や海で分解する繊維があるとしたら、染色や加工は分解にどんな影響があるのでしょうか。
梶原加奈子カジハラデザインスタジオ代表(以下、梶原):消費者の知識もまだ曖昧なため、日本ではまだ生分解性という言葉でひとくくりに捉えている傾向が高いです。コンポストで分解するか、土壌分解するか、海洋分解するか、これから生分解の方法についてもっと関心が高まると思います。
吉川久美子マテリアルコネクション東京代表取締役(以下、吉川):欧州では現状あまり“生分解”という言葉を使いません。コンポストか否か、コンポストであればどのISOの規格に対してかが記載されています。生分解ならどこに捨てても大丈夫であると誤解を生んでしまうからです。日本は基本焼却で、一部埋め立てもありますが、日本の国内市場でうたうのはあまり意味がないのではないでしょうか。ただし、海洋マイクロプラスチック問題に関しては海洋分解するか否かについては言及する必要がありますね。
梶原:焼却以外の選択肢としてコンポストできる場合、利点として意味が出てきます。現在、PLAの開発は進んでいますが、ペットボトルなど日用品の代替品としての用途が多く、まだ繊維への応用は少ないのが現状です。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。