「売ることを主目的にしない小売り」の「ベータ(b8ta)」を日本で運営するベータ・ジャパンは4月27日、埼玉・越谷のイオンレイクタウンKAZE2階に新店をオープンした。国内4号店となる店舗で、東京都外への出店は初めて。店内にライブキッチンスペースを設け、調理家電を実際に試せるようにした点が既存3店にはない仕掛けとなっている。同一区画に「スターバックスコーヒー(STARBUCKS COFFEE)」も同日オープンしており、今後共同でイベントなどを想定している。
店舗面積は約175平方メートル。越谷店では、49センチ×98センチ四方のスペースを月額30万円で企業やブランドに提供しており、オープン時は46の企業・ブランドが出展。トラベルグッズや寝具、ビューティアイテム、ファッションアイテム、家電など出展アイテムのジャンルは幅広いが、21年11月にオープンした3号店の渋谷路面店に続き、越谷店でも“食”関連の比重を高めている。
家電レンタル企業と提携、競合と差別化へ
“食”へのフォーカスを象徴するのが、初導入となるライブキッチンスペースだ。ベータ・ジャパンは3月に家電のレンタルサービスを手掛けるレンティオと業務提携しており、シャープ「ヘルシオ」のオーブンや電気無水鍋など、調理家電7アイテムを予約制で試すことができる(ただしオープン時はスタッフによる調理実演のみ)。試してみて気に入れば、その場でレンティオのサイトからレンタルを申し込むという設計になっている。
レンティオとの提携について、「百貨店による新規参入が相次ぐなど、われわれのような売ることを主目的にしない小売りは既にコモディティー化している。ライブキッチンやレンタルサービスによって競合と差別化する」と、北川卓司ベータ・ジャパン社長は狙いを話す。「レンティオのサイトを訪れるのは、既にお目当ての家電がある人。レンタルした人のうち、何らかの形で購入に至るケースは調理家電の場合は5〜6割だ。『ベータ』と組みリアルな場に出ることで、そもそもその家電を知らなかった層にも訴求できると期待しており、クライアントである家電メーカーからも好評」とは、三輪謙二朗レンティオ社長。今後、「ベータ」がポップアップストアを出店する際などに、出展する全商品をレンティオでレンタル可能にする形なども考えていくという。
レンティオだけでなく、他企業とタッグを組んでさまざまな仕掛けを想定している点が越谷店の特徴でもある。同一区画の「スターバックス」と地域住民などに向けたイベントなどを行っていくほか、埼玉りそな銀行も地域企業支援や新事業開発の一環として、ベータ・ジャパンと組んでいる。埼玉りそな銀行が埼玉県内の企業に声を掛けてベータ・ジャパンにつなぎ、オープン時は地元の酒造メーカーや食品メーカーなど5社が出展した。また、イオンモールとの取り組みで、レイクタウン館内のテナントや、他地域のイオンモール出店テナントなどの商品を、「ベータ」店内でイベント的に見せていくことも予定している。