2017年にピークを迎えたスニーカーブーム。「ナイキ(NIKE)」と故ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)によるコレクション「ザ・テン(THE TEN)」に端を発した熱狂も落ち着き、現在はブームから定着のフェーズに入った。マニアからライト層までを巻き込んだ最大の要因は、その膨大なモデル数にあるだろう。“マニアの好むモデル”はリセール市場と長年の動向を追えばある程度把握できるが、“ライト層の好むモデル”となると難しい。そこで検証の一つとして、インスタグラムのハッシュタグ機能を利用して人気モデルを探ってみた。もともとは写真共有アプリだったインスタグラムも、昨今は世界各国の“生の声”を知ることができるアプリとして重宝されている。なお今回の検証では、対象とするハッシュタグは英表記でのモデル名としている。
“マニア”向けは“イージー”強し
まず“マニアの好むモデル”だが、これは世界最大級のリセールサイトである「ストックX(STOCK X)」の“2021年に最も取引数が多かったスニーカー”を参考にした。本ランキングの順位は、1位が「ジョーダン ブランド(JORDAN BRAND)」の“エア ジョーダン 1(AIR JORDAN 1)”、2位が「ナイキ」の“ナイキ ダンク(NIKE DUNK)”、3位が「ナイキ」の“エア フォース 1(AIR FORCE 1)”、4位が「イージー(YEEZY)」の“イージー 350(YEEZY 350)”、5位が「ジョーダン ブランド」の“エア ジョーダン 4”だった。では、各モデルのハッシュタグ数は一体どうなっているのか。結果は、1位の“#AIRJORDAN1”が239万件、2位の“#NIKEDUNK”が111万件、3位の“#NIKEAIRFORCE1”が252万件、4位の“#YEEZY350”が320万件、5位の“#AIRJORDAN4”が50万件で、「ストックX」のランキングとは異なる結果だった。
“ライト”層では「アディダス」も浮上
続いて、“ライト層の好むモデル”として各ブランドの定番モデルを調べてみた。「ナイキ」の“エア マックス 1(エア マックス 1)”は、“#NIKEAIRMAX1”で42万件。「アディダス」の“スタンスミス(STAN SMITH)”は、“#ADIDASSTANSMITH”で97万件。「アディダス」の“スーパースター(SUPERSTAR)”は、“#ADIDASSUPERSTAR”で428万件。「ニューバランス(NEW BALANCE)」の“574”は、“#NEWBALANCE574”で48万件。「ニューバランス」の“990”は、“#NEWBALANCE990”で12万件。「コンバース(CONVERSE)」の“オールスター(ALL STAR)”は、“#CONVERSEALLSTAR”で178万件。「コンバース」の“ジャックパーセル(JACK PURCELL)”は、“#CONVERSEJACKPURCELL”で37万件。「ヴァンズ(VANS)」の“オールドスクール(OLD SKOOL)”は、“#VANSOLDSKOOL”で313万件。「ヴァンズ」の“スリッポン(SLIP ON)”は、“#VANSSLIPON”で85万件。「ストックX」ランキングでは圏外だった“伏兵”が、インスタグラムでは数字を持っていることが分かる。
しかし、“スタンスミス”は“#ADIDASSTANSMITH”だと97万件だが、“#STANSMITH”にすると185万件に大きく数字が伸び、“#スタンスミス”では18万件がヒットするように、今回の結果は検索の仕方一つで大きく変わる。また、検索でのヒットを狙って無関係なハッシュタグを過剰に含めた投稿は一定数見られるので、今回の数字はあくまで俯瞰的なデータとして頭に留め、自身で調べる際も物見遊山的な感覚がベストだろう。
参考までに、「ストックX」において“2021年に最も取引数が多かったブランド”で検証するとどうなるのか。「ストックX」では1位が「ジョーダン ブランド」、2位が「ナイキ」、3位が「アディダス」、4位が「ニューバランス」、5位が「コンバース」だった。対してハッシュタグでは1位の“#JORDAN”が3425万件、2位の“#NIKE”が1億2000万件、3位の“#ADIDAS”が7613万件、4位の“#NEWBALANCE”が1218万件、5位の“#CONVERSE”が2044万件と、結果が大きく異なった。