2022年春に時計の世界で最も注目されているのが、世界最高峰のファッションメゾンの「ハイウオッチメイキング」。つまりファッションメゾンが自ら企画・開発・製造した、時計専業メゾンの最高峰モデルに負けない、複雑でユニーク、魅力的なメカニズムを持つ時計だ。そして、この世界の最先端を走るのが「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」。「ルイ・ヴィトン」はこの春、東京・上野の国立博物館・表慶館でハイウオッチ&ハイジュエリーの展示会を開催した。アワーのキューブを発光させることで時を表示するキューブが内部から光り輝いているように見える“タンブール スピン・タイム エアー クァンタム”や、メゾンのマスコット「ヴィヴィエンヌ」がマジシャンのように楽しい動きで時刻を教えてくれるジャンピングアワー“タンブール スリムヴィヴィエンヌ ジャンピングアワー”など、どこにもない楽しいアイデアの機械式時計が並んだ。
一連の時計作りを指揮しているのが、スイス・ジュネーブにあるルイ・ヴィトンのウオッチ・メイキング・アトリエ「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」でアトリエのトップを務める伝説の時計師ミシェル・ナバス(Michel Navas)時計アトリエ最高責任者だ。来日したナバス氏に、「ルイ・ヴィトン」の目指す時計作りを聞いた。
10歳から時計作り
を始めた「伝説の時計師」
ナバス最高責任者は、スイスの時計業界の関係者なら誰もがその名を知っている、もっとも尊敬されている「伝説の時計師」のひとりだ。「時計作りを始めたのは、10歳のとき。時計師だった父の影響で組み立てを始めて、以来一筋です」。
スペイン生まれのナバス最高責任者は、フランスの時計産業の中心地だったブザンソンの時計学校を卒業後、1980年代には時計師としてスイスのジュウ渓谷にあったジェラルド・ジェンタ(Gerald Genta)の工房で働いた。ここで伝説の時計師ミシェル・ゴレイ(Michel Golay)の指導を受ける。こうして、今日まで続く時計師としての華麗な経歴が始まった。
ジェラルド・ジェンタは、「20世紀最高の時計デザイナー」と讃えられる存在。「オーデマ ピゲ(AUDEMARS PIGUET)の“ロイヤル オーク”や「パテック フィリップ(PATEK PHILIPPE)」の“ノーチラス”など、数え切れないほどの傑作デザインを生み出した。だがジェラルド・ジェンタの時計業界への貢献は、デザインだけに止まらない。
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