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トレンドは“成分斬り”? ナイアシンアミドやドクダミエキスを配合する8アイテムの売れ行きを調査

 毎月「WWDJAPAN」ウイークリーで連載している「ヒットランキング」では、各販売チャネルの売れ筋を掲載している。生活雑貨店「プラザ」では「ナイアシンアミドやドクダミエキス配合の化粧水が売れている」(中野幹也プラザスタイル商品二部 H&B課 課長)といった声があり、この2つの成分をそれぞれ処方した8ブランドの売れ行きを調査した。

<ナイアシンアミドを処方>

1.「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE-POSAY)」
“エファクラ ピールケア セラム”(30mL、税込4950円)

 ナイアシンアミドを配合した“エファクラ ピールケア セラム” (3月17日発売)は、従来の角質ケアに多いピーリングだけを指すのではなく、角質層の表面・内部へトータルアプローチを目指している。2月から一部先行発売を行っていた店舗や公式サイトでは好調な滑り出しで、公式サイトでの売上目標達成率は122%(集計期間:2月17日~3月17日)だった。遠藤由貴PR担当は「過去好評だった美容液の中でももっとも売り上げが高く、某バラエティショップではほか美容液と比較すると発売から30日間の売り上げが3.5倍、また、『ラ ロッシュ ポゼ』単品スキンケア(UVとセット品を除く)の中で、2、3月共に最も売れた製品となった」と話す。「ラ ロッシュ ポゼ」では引き続き敏感肌向けスキンケアブランドとして、ナイアシンアミドに注目していく。

2.「エンビロン(ENVIRON)」
“モイスチャートーナー”(100mL、税込6600円/200mL、税込1万780円)

 ナイアシンアミドを処方した“モイスチャートーナー”は、次に使う保湿成分を補給しやすい状態に肌を整える、うるおいと透明感のあるなめらかな肌へと導くトーニングローション。山﨑梨奈プロティア・ジャパン エンビロン PRは「年単位での回答となるが、売り上げ本数は昨対比約15%増で右肩上がりだ。また、全体的なブランドの年間売上も昨対比と比べると順調に伸びている」(集計期間:2021年4月1日~22年3月17日と20年4月1日~21年3月17日)と話す。「エンビロン」ではナイアシンアミドの2つの働きに注目し、処方している。一つ目は、ブライトニング。ナイアシンアミドはメラニン生成が行われるメラノソームの輸送を抑えることで、ブライトニング効果が期待できる成分。また、抗炎症作用があるため、炎症性色素沈着などのシミ(エイジングサイン)を目立ちにくくする効果も期待できる。二つ目は、皮膚を保護する角質細胞間脂質の合成を促進することで保湿を促す作用だ。「『エンビロン』は長年、ビタミンA(レチノール誘導体)にこだわり続けてきたが、近年はペプチドにも注目している。3月24日発売のエイジングケア用クリーム状美容液“デュアルブーストクリーム”(30mL、税込1万4300円)には、4500万個ものヘキサペプチドから厳選したペプチドであるアディフィリンとリプロエイジを配合。頬や目元などのハリやボリューム不足に働きかけ、なめらかで、ふっくら若々しい印象の肌へと導く」とコメント。

3.「エクセルーラ(EXCELLULA)」
“ホワイトニング リンクルリペア”【医薬部外品】(30mL、税込4180円)

 ナイアシンアミドを処方した “ホワイトニング リンクルリペア”は、エイジング世代の肌悩みで上位に挙がる、「シミ」と「しわ」にアプローチするブースター美容液で、今年の3月で発売から1周年を迎える。佐藤製薬広報部 広報課 須藤杜萌氏は「発売から1年間で、ブランド内のほかの美容液アイテム3品の売り上げ合計の2倍以上を売り上げている。顧客からの要望に応え、3月に50mLの大容量タイプ(数量限定)を発売し、既にほぼ全数を出荷した。美白、しわ改善、肌荒れなどマルチにアプローチするナイアシンアミドは、複合的な肌悩みを持つエイジング世代へ向けた商品において大変有用であると考えている。加えて、ナイアシンアミドはビタミン類であり、佐藤製薬OTC医薬品事業のユンケルシリーズにも配合されているため、弊社となじみのあるキー成分として位置付けている。今後は、ブランド導入当初より一貫して取り組んでいる和漢植物エキス研究から新たに見出された作用を持つ成分を配合し、効果実感が得られる商品開発に努めていく」と話す。

<ドクダミエキスを処方>

4.「バビメロ(VAVI MELLO)」
“HCトリートメントエッセンス”(150mL、税込1980円)

 ドクダミエキスを処方した“HCトリートメントエッセンス”は、21年5月に発売。済州島産ドクダミエキス(整肌成分)を85%以上処方と含有率が高い。安居みなみDHOLICプレスは「肌の鎮静をサポートするドクダミエキスを処方した。長時間のマスクの着用が続き、肌トラブル、赤みに悩む人が増加したことに関係し、人気が高まりつつある。今後は、肌の乾燥やシワを気にする人が増え、アンチエイジング成分や弾力ケア成分がトレンドになると思う。プロバイオティクスや植物・果物から抽出した複合コラーゲン、肌バリアを強化するような成分を処方したアイテムが増えるのでは」と述べた。

5.「ネモハモ(NEMOHAMO)」
“ディープジェル”(50mL、税込6380円)

 ドクダミエキスをはじめ、複数の植物エキスを配合したスペシャル保水美容液“ディープジェル”は「サスティナブルコスメアワード 2021」審査員賞を受賞。渡邉温子ビオスタイル BEAUTY事業部 PRは、「乾燥が気になる時期におすすめしているアイテムで、21年9月の発売から大変好評だ。ドクダミエキスには整肌効果があり、ニキビやゆらぎ肌を健やかに整えることが期待できる。注目の成分は、『ネモハモ』製品の多くに配合しているオタネニンジンエキス。根も、葉も、茎も、花も、まるごと、美容成分を壊さないようにブランド独自の工程で、あますことなく抽出している。エイジングケア(年齢に応じたケア)効果や、肌のバランスを整える効果が期待でき、ハリ、ツヤのある健康的な肌に導く。赤紫蘇由来のシソ葉エキスも注目だ。ローションやボディソープに処方していて、ドクダミエキスに似た効果が期待できる。整肌力が高く、保湿しながら、いきいきとした肌に導く」。

6.「ミラリ(MIRARI)」
“more calm downフェイシャルトリートメントマスク”(5枚入り各30g、税込2750円)

 「EVE VEGAN」を取得した100%ヴィーガンコスメブランド「ミラリ」。ドクダミエキス、イタドリ根エキス、オウゴン根エキス、ツボクサエキスなどを配合した“more calm downフェイシャルトリートメントマスク”は、肌の鎮静に働きかける。6種類のシートマスクの中でも特に人気が高く、男女問わず支持されている。カン・ハンナBEAUTY THINKER代表は「『エストネーション(ESTNATION)』、『ロンハーマン(RON HERMAN)』を含めると、2021年度と比べ10倍以上の販売実績。肌が不安定なときにお使いいただく顧客が多く、『肌の鎮静に』、『透明感がアップしたと感じる』といった声が多い。また、ツボクサ、ドクダミ、オウゴン根などの植物原料が配合されていることを理由に購入する人もいる。ドクダミエキスは肌を落ち着け、鎮静させる目的で処方している。韓国では『肌をよみがえらせる』ことで知られ、大人気原料の一つだ」。

<ドクダミエキス、ナイアシンアミド両成分を処方>

7.「オンリーミネラル(ONLY MINERALS)」
“Nude ファーストCブースト”(45ml、税込4800円)

 ドクダミエキス、ナイアシンアミド、4種のビタミンC誘導体をバランスよく処方したブースターセラム“Nude ファーストCブースト”。 川崎布美子ヤーマンPRは、「ナイアシンアミドは、肌にうるおいを与える成分として、ドクダミエキスは肌を穏やかに整えると言われており、ツボクサエキスの次にブレイクすることが想定される成分だったため処方した。現在、ビタミンCが美肌の味方として再注目されている。『オンリーミネラル ヌード(ONLY MINERALS NUDE)』としては、多角的なケアができるビタミンCスキンケアを提案していく」と話す。

8.「ドクタージャルト(DR.JART+)」
“シカペアクリーム”(50mL、税込5280円)

 ドクダミエキス、ナイアシンアミドを処方した、薄カーキ色のフェイスクリーム“シカペアクリーム”。テクチャーはやや固めだが、べたつかずサラッとしたつけ心地。インターナショナルコスメティックス高平昌氏は「2月はマンスリー目標に対して、5%増を達成した。3月から『ドクタージャルト』の取り扱い店を大幅に拡大し、これまで以上に日本市場への参入を強めていく。刺激を受けた肌の鎮静や保湿ケアを主要な目的としてドクダミエキスやナイアシンアミドを配合し、スキンリペア効果を期待しての処方設計となっている。今後は、ブランド独自に開発した複合的な成分の組み合わせや処方設計により、顧客の肌悩みに寄り添い、親和性を生み出すブランドとして貢献していきたい」とコメント。

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