「WWDJAPAN」5月9日号は「R&D特集」。R&Dとは“研究と開発(Reserch&Development)”の意。ファッション&ビューティ業界において、商品や製品の他にないデザインや機能性は、競争力に直結します。時代感や消費者のニーズを捉えた新素材や成分を「研究」し、商品やサービスを「開発」するサイクルを、たゆみなく回し続けることが重要です。
コロナ禍で選別淘汰が進む中、ファッション&ビューティ企業は生存戦略が急がれています。ただ、目先の成果にとらわれていてはR&Dの成果も限られたものになるでしょう。未来を作るイノベーションのヒントはどこに隠れているのでしょうか。取材の中で、単に資金力や開発設備が潤沢かどうかではなく、“視点”こそが重要だということが分かってきました。
2019年秋、ビームスはJAXA、豊島と協業して国際宇宙ステーション滞在用ウエアを開発しました。22年春にはバイオベンチャーのトライフ(横浜市)による「スペースコスメ」も誕生。特集ではビームス、豊島、トライフによる鼎談を収録しました。「宇宙」という途方もなく高い視座に立った商品・製品のR&Dから得られたものは大きかったようです。
ポーラ・オルビスホールディングスの“ぶらぶら研究員”の一日にも密着しました。研究室の外に出て美術展に足を運んだり、中国の伝統工芸の名家と対談したり。一見、製品開発とは関係なさそうな彼女の研究活動の狙いも、サイエンスの枠組みにとらわれず、知見を広げる取り組みだったのです。
ILLUSTRATION : YUKIHIRO TAKEDA